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» 2012年10月31日 10時00分 UPDATE

システム基盤改革フォーラム 2012講演レポート(後編):高度な仮想化技術や移行サービスに強み 次世代のIT基盤を考える

10月4日に開催された「システム基盤改革フォーラム 2012 〜導入事例と検証結果から知る、仮想化/基盤テクノロジーの選択肢と現実解〜」では、日本IBMが誇るPOWERプロセッサ搭載サーバ「Power Systems」が企業にもたらす価値について、技術解説を交えながら強調された。

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 強固な企業のIT基盤構築をテーマに、基調講演、特別講演および個別セッション、ソリューション展示などが多数行われた「システム基盤改革フォーラム 2012」。前編に引き続き、本稿では、日本IBMによる2つのセッションを紹介する。

パフォーマンスやセキュリティに優れた真のプラットフォーム

 日本IBMでシステム製品Power Systems テクニカル・セールスの坂地高明氏は、「仮想化デモと採用事例にみる仮想化の真髄 〜初めてのPowerVM〜」と題したセッションで、POWERプロセッサ搭載サーバ「Power Systems」の仮想化テクノロジー「IBM PowerVM」の技術的特徴や導入事例、実際のPowerVM環境を用いたデモを紹介した。

 「x86サーバ間ではリソースをお互いに融通して利用することが困難で、ピークに合わせたサーバサイジングでは、平均利用率は5〜10%と低い。無駄なリソースがあるにもかかわらず、x86サーバの急速な低価格化が、“ワークロードが増えれば気軽に台数を増やせばよい”というスケールアップ型の考え方を必要以上に助長してしまった。その結果、サーバは乱立し、運用負担の増大を招いた」と坂地氏は指摘する。

日本IBM システム製品Power Systems テクニカル・セールスの坂地高明氏 日本IBM システム製品Power Systems テクニカル・セールスの坂地高明氏

 ここ数年、x86サーバでも仮想化の取り組みは具体的になってきているが、ビジネスにおいてユーザーが求めるのは、スケーラビリティ、サービスレベル、スピード、コストに加え、信頼性が重要だとする。

 こうした状況に対し、期待を集めているのが、スケールアップ可能なエンタープライズシステムだ。仮想化により多数のサーバで担っていたシステムを少数サーバに集約でき、運用の一元化でランニングコストを抑えられる。POWERプロセッサの高いパフォーマンスを、ダイナミックかつパフォーマンスのペナルティなく割り振ることでリソースの有効活用が可能である。サーバそのものの信頼性もx86サーバより高く、運用を止めずに保守するなどの機能が備わっているのである。

 「IBMは40年以上に渡るサーバ仮想化の歴史と実績を持つ。もともとは高価なメインフレームを無駄なく活用したいという考えから開発したもので、マルチユーザーが前提で信頼性やセキュリティが設計されている」(坂地氏)

 Power Systemsにおける仮想化は、UNIXサーバの基幹系利用が進んできたことを受けて、1997年から設計に着手。メインフレームの仮想化開発チームが、自らの技術の蓄積を生かして開発し、2001年にLPAR(Logical Partitioning:論理分割)機能を投入、その後も新しいPOWERプロセッサが投入されるたびに高度な仮想化機能を実装してきた。

 「Power Systemsはメインフレームで培った高可用性を備えており、他社x86サーバと比べてダウンタイムは10分の1。ハードウェアレベルで仮想化テクノロジーを組み込んでいるため、ほかの一般的な仮想化ソフトウェアと比較して、仮想化の柔軟性は飛躍的に高い。こうした設計により、PowerVMに関するぜい弱性報告がいまだゼロという高いセキュリティを誇っている」と坂地氏は胸を張る。こうしたメリットから、Power Systemsの仮想化テクノロジーは日本企業の基幹業務システムにも数多く採用されているという。

PowerVMによる仮想化で可用性を高める

 PowerVMには、リソースを有効活用し、可用性を高めるためのいくつかの機能が備わっている。坂地氏は事例やデモを交え、その主要な技術を紹介した。

 リソース配分にまつわる技術であるDLPAR(Dynamic LPAR)は、稼働するシステムに対し物理コア単位で占有プロセッサを割り振る機能である。それに対し、(1ないし複数の物理コアによる)共有プロセッサプールを設け、その中から動的にCPU処理能力を割り振るのがMicro-Partitioning。各システムは最小0.1コア(最新のハイエンドモデルでは0.05コア)から利用でき、0.01コア単位で割り当てを変更できるという。さらにCoD(Capacity on Demand)により、スペア搭載のコアも起動可能で、稼働中に動的な活動コア総数の増減が可能だ。

 VIOS(Virtual IO Server)は、上記の機能で構成された仮想化システムのストレージやネットワークへの入出力を統合し、仮想化させる機能。物理インタフェースを統合し、仮想化システム上の仮想インタフェースとの接続を担う、いわば入出力専用の仮想サーバといったところだ。これによって新規システムを追加する際にも新たな物理的な接続が不要となり、迅速な立ち上げが可能となる。

 可用性を高める仕組みとして坂地氏が挙げたのが、LPM(Live Partition Mobility)だ。これにより、仮想システム区画を稼働させたまま別のPower Systemsの筐体へ移動できる。筐体間のネットワークを用いてメモリの内容を丸ごとコピーしていき、コピー中に変更された部分を最後に同期させてから切り替える仕組みで、サービス停止は同期する際の一瞬だけで済むという。VIOSと連動して、ネットワークやストレージの入出力も自動的に切り替え、別筐体にシステムを移動させることが可能だ。

 LPMは、旧サーバから新サーバへシステムを移行させたり、増設したサーバへ一部のシステムを移動させるといった場面で威力を発揮する。ハードウェアの停止を伴うメンテナンスの場合にも、メンテナンス対象外のサーバへ移動させておくことでシステムの計画停止を防げる。ビジネスの変動に応じて余裕のあるサーバへ業務ごと移動するなどしてマシンルーム全体のリソース利用効率を、物理システムに束縛されることなく向上させることもできるのだ。

 「Power Systemsの仮想化環境をベースとして、IBM Systems Director VMControlによるサービス標準化、IBM Smarter Cloud Entryを用いたサービス自動化を取り入れていくことで、自社システムをプライベートクラウド環境へとステップアップできるのだ」(坂地氏)

Power Systemsへの移行 さまざまなパターンに対応

 こうしたPower Systemsのメリットを得るためには、仮想化によるサーバ統合が不可欠だ。本フォーラム特別講演のイオングループの事例のように、異なるプラットフォームが混在していて統合と同時に移行作業が必要になることも少なくない。将来性などの条件を考えてシステム更新やサーバ統合と同時にプラットフォームを移行するケースもある。

日本IBM 移行総合技術センター ITスペシャリストの飯村一雄氏 日本IBM 移行総合技術センター ITスペシャリストの飯村一雄氏

 日本IBMで移行総合技術センター ITスペシャリストを務める飯村一雄氏は、他プラットフォームからPower Systemsへの移行にまつわるポイントを紹介した。

 「Power SystemsにはAIX/IBM i/Linuxの3種のOSが相乗りできるため、移行先OSを適材適所で選べる。例えばSolarisからPower Systemsへ移行するなら、移行先OSはAIXを使う。同じUNIXなので比較的容易にコンバージョンが行えるからだ。また、ミドルウェアやパッケージを中心に構築したシステムであれば、それらがOSの違いを吸収してくれるので移行しやすいし、Power Systemsへの移行事例も多く、メリットを享受しやすい」と飯村氏は話す。

 移行元と移行先の環境双方に対応したミドルウェアやパッケージを使う場合は、多くのケースで変更せず、最新版を導入してそのまま移行するとのこと。例えば、「Oracle DB」や、多くのERPは複数のOS環境をサポートしているほか、ソフトウェアベンダー側にもプラットフォーム移行のノウハウがあるため、他社UNIX機からPower Systemsへの移行は容易だ。

 一方、独自に開発されたプログラムについては、その言語によって対応が変わってくる。PL/SQLなどDBサーバ周辺のスクリプト系言語はOSに依存しないので移植性が高いが、アプリケーション開発言語はベンダーによって文法が異なったり、OS依存のコマンドやパスが含まれる場合も多く、変換や再コンパイルが必要だ。とはいえ、COBOLやCなどは機械的に変換して対応できる部分も多く、数多くの移行経験から生み出された非互換チェックツールなどを使って綿密なアセスメントを行い、再コンパイル後の検証などを経て、無事に移行できた例は数多いという。特にDBサーバ周辺で稼働している業務プログラムはOSに依存する書き方をしないので、CでもCOBOLでも開発言語に関係なく、移植性が非常に高い。

 また、Power Systemsに対応しているOSの1つであるLinuxは、もともと複数プラットフォーム向けにシングルソースで記述されている。このため、各プラットフォームのLinuxアプリケーションの移植性は非常に高い。最近では、PowerVM仮想化テクノロジーの高い効率性を求めて、x86/Linuxで構築されたシステムをPower SystemsのLinux環境で再構築されるケースが増えている。

 「日本IBMでは、他社UNIXからの移行は90年代から手掛けおり、豊富なノウハウの蓄積がある。多数の物理サーバで構成されるシステムを仮想化して少数の物理サーバに統合できれば、物理CPU数が大幅に減り、ソフトウェアのライセンスや保守費用を削減することもできるのだ」(飯村氏)

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