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» 2013年11月29日 08時00分 UPDATE

フジテレビ系列28社の共通基盤に クラウド化したテレビ局の基幹システム (1/2)

他の系列に先駆けて、フジテレビをはじめとするFNSは、テレビ局の業務基幹システムといえる「営放システム」をクラウドで利用できる環境を構築。その背景や現状を取材した。

[伏見学,ITmedia]

 フジテレビをキー局に、全国28系列局の地上放送ネットワークをFNS(Fuji Network System)と総称するのをご存じの読者は多いだろう。放送番組の相互供給を主目的に1969年に発足したFNSは、編成や技術といった部門ごとのミーティングなどを定期的に開催し、情報共有や意見交換を行っている。

フジテレビ本社 フジテレビ本社

 そうした中、各局のITシステム担当者が集う場として、1972年に設立したのがFNS情報システム会議だ。現在では系列28社すべてが参加し、単なる情報交換にとどまらず、系列システムとして取り組むべき課題にも実務レベルで対応している。

 具体的に、系列各社がかかわる基幹業務システムというのが、番組やCMの放送情報を管理する「編成営業放送システム(営放システム)」である。機能の程度の差こそあれ、これはFNSだけでなくほかのテレビ局でも使われているシステムで、いわば放送業界独自のERPシステムと呼べるだろう。1日24時間のタイムテーブル作成やCM総量規制といった番組編成情報の管理、タイムセールスやスポットセールスなどCM販売にかかわる営業情報管理、生放送およびVTR放送の切り替えなど放送準備情報の管理をするために、営放システムを活用している。FNSでは加えて、イントラネット「FNSネットコム」を利用して、各社が編成、営業、広報などの情報共有、営放システム間の情報連携などを行っている。

 このように、FNS加盟各社の業務を支えている営放システムだが、以前は各社がバラバラにシステムを構築していたため、情報連携において非効率な面があったことや、ローカル局では専任のIT担当者が少なく、他業務を兼務しているスタッフも多かったことから、システムの保守、運用面で苦労を強いられていた。さらには、地上デジタルテレビ放送の開始によってIT担当者の対応業務が増大したことで事態はより深刻化した。

各社の基幹業務システムをセンターに集約

 そのような危機感から、FNSの基幹業務システムを共同開発し、標準化する動きが出てきた。それが形となって表れたのが、2004年に稼働をスタートした「FNS標準営放システムV1」である。これによって、とりわけローカル局のIT担当者のシステム運用負担が軽減したほか、FNS全体で業務や言葉が統一されたという。

 さらに、テレビ局として今後ITをいかに活用して業務の効率化を図るか、限られたリソースの中で対応力を強化していくかといった問題意識から、FNS各社個別の設備投資から系列共通のサービス利用へ転換することを目指し、2010年夏、「FNS情報システムセンター構想」を立ち上げた。これまでは各社に営放システムのサーバを設置していたが、同センター設立後は、センター内にあるFNS標準営放システムに集約して、各社は専用線経由でシステムのデータにアクセスする形にした。これが後述する放送業界向けクラウドサービスの原型となる。

放送業界ならではのクラウドとは

フィンズ クラウドサービス本部 本部長兼企画部長の丸山将氏 フィンズ クラウドサービス本部 本部長兼企画部長の丸山将氏

 こうした中、FNSのIT戦略を推進する役割を担う事業体として、さらには放送業界に対応したクラウド環境の構築、運営することを目的に2011年4月に誕生したのが、システム開発会社のフジミック、日本IBM、西日本コンピュータの合弁会社であるフィンズだ。

 フジテレビジョンの情報システム局で長らくFNSのIT戦略立案などに携わり、現在はフィンズのクラウドサービス本部において本部長兼企画部長を務める丸山将氏は、フィンズ設立の背景について「放送局向けに必要とされるクラウドサービスは、稼働率やセキュリティなど高度な信頼性が要求される。これに応じるためにはさまざまな知見を結集した専門家集団が必要だった」と強調する。

 具体的な事業としては、FNS標準営放システムのほか、ニュース速報やアーカイブなどのデータ、メールやグループウェアなどの情報サービスをクラウドでFNS各社に向けて提供すること。メールおよびグループウェアに関しては、2012年11月にフジテレビで利用開始したことを皮切りに、関西テレビ、東海テレビ、テレビ西日本など、FNS各社に広がっている。

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