商用版OpenStackを製品化──HPは、なぜオープンソースを推進するのか年間利用権12万9000円から(1/2 ページ)

ポイントは「楽、安心、リーズナブル、イノベーション」。日本HPがクラウド事業の基幹ブランド「HP Helion」を軸にしたオープンソースのクラウド基盤「商用版OpenStack」を発売、合わせてプロフェッショナルサービス部門を新設した。企業の“オープンソース”でのクラウド活用を推進する。

» 2014年10月28日 17時50分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

オープンソースのクラウド活用を推進、商用版OpenStackを製品化

photo 日本HP クラウドビジネス統括本部統括本部長の春木菊則氏

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)が戦略に掲げる「オープン&ハイブリッドクラウド」。その戦略の延長上にあり、同社のクラウド関連製品やサービスを総称するブランド「HP Helion」を立ち上げたのが2014年5月のこと。年間数億円の利用料を支払っていた外部サービスから自社PaaSへ移行し、コスト削減や運用効率の改善を果たした自社事例とともに、HP Helionブランドをクラウド事業の軸に据え、オープンソースのクラウド環境構築用ソフトウェア群“OpenStack”を推進する姿勢を示してきた。同社は10月28日、この姿勢を検討企業に対してより強固にする商用版「HP Helion OpenStack」の提供を開始。さらに導入企業に対し、OpenStackでのクラウド基盤を全フェーズでサポートするサービス部門「HP Helion OpenStack Professional Services」を立ち上げた。

 オープンソースであるOpenStackの価値は何か、なぜオープンソースか。日本HPは「クラウドサービスを作る人が、いかに楽に、安心して構築できるか」に注力し、HPがOpenStackのプロジェクトをリードして提供する姿勢を改めて示した。今回の商用版は、2014年5月に提供をはじめた無償版OpenStack Communityで得た運用経験とノウハウを生かし、スケールアウトが求められる大規模プライベートクラウド、サービスプロバイダ向けのディストリビューションとして用意する。無償版に対し、3カ月ごとのアップデート、セキュリティ、拡張性、可用性、管理性を強化し、アップグレードやテクニカルサポートを用意。OpenStackでの構築を計画し、大規模サービスを運用していくまでの顧客の課題解決と運用ニーズをHPがサポートする格好だ。


photo HP Helionのサービス概要
photo 無償版(OpenStack Community)に加え、物理サーバあたり12万9000円からとする商用版「HP Helion OpenStack」の年間使用権を提供する。24時間×7日の拡大サポートメニューもある

 「日本HPはすでにOpenStackベースでサービスを提供している。オープンソースベースで作っている、言い換えればパッケージしている付加機能ですらオープンソースであるということ。顧客にオープンスタンダードなエコシステムが提供する豊富な選択肢を示し、かつ進化し続けるオープンソースを活用した改革をHPが全面的にお手伝いできる。一番の改革は価格だ。価格は物理サーバあたり12万9000円から。サブスクリプション型であるメリットとともに、いかにリーズナブルかお分かりいただけるはず。顧客のニーズにあったOpenStackの専門知識を率先して提供し、企業におけるOpenStackベースのクラウドの導入を支援したい」(日本HP クラウドビジネス統括本部統括本部長の春木菊則氏)

 HP Helion OpenStackのポイントは(1)楽で安心、(2)先進機能を取り込める、(3)リーズナブル、の3点。具体的には、

  • OpenStackクラウドソフトウェアを素早く、かつ高信頼性で導入できる
  • エンタープライズが求める高信頼性を実現する厳しいテストを行い、提供する
  • HP HelionソフトウェアやHPサーバ、ストレージなどのハードウェア、管理サービスを統合し提供する、最適化したソリューションを提供できる
  • OpenStackテクノロジー単体、あるいはLinuxコードとの組み合わせを対象とした、著作権や特許権、あるいは営業秘密の信頼や不正使用に対する請求から、顧客を保護する(別途合意による条件に基づく)
  • 標準時間テクニカルサポート付きの年間利用権は、物理サーバあたり12万9000円から。24時間×週7日のビジネスサポートもオプションで提供する(物理サーバあたり23万6000円から)

 を強みに掲げる。共通プラットフォーム上でのサードパーティ製ハイバーバイザーのサポートなども行う。

 「多様なワークロードをサポートする。従来型のOSで安心して使え、サポートも必要というお客様にはVMware ESXを勧める。一方“とにかく安く”という要望には、AWS上で使われているLinux──UbuntuやCent OSなど、商用Linuxは使わないお客様へのニーズにもお応えしたいため、低価格に提供できるようHP Helion OpenStackにバンドルしたhLinux KVMも出している。フルサポートではないが、HPクオリファイという表現でHPはサポートする。ともあれOpenStackは北米で3年間運用している。“素”ではカバーできない部分を補う機能を提供する姿勢は、やはりHPは分かっていると思ってもらえるはず」(日本HP クラウドテクノロジストグループ エグゼクティブクラウドチーフテクノロジスト 技術担当部長の真壁徹氏)

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