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» 2015年06月12日 08時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第15回 「サポート、してますか?」の落とし穴

「サポートしていますか?」──ITインフラ業界でも当たり前のように飛び交いがちなフレーズですが、この質問の仕方は、実はトラブルの元。リスクがあることをご存じでしょうか。

[小川大地(日本HP),ITmedia]
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 第1回でご紹介したとおり、私は普段プリセールスの仕事をしています。お客様やパートナー様を訪問し、検討されているシステムについてアドバイスしたり、提案させていただくのですが、そこでたまに耳にするのが、次の言葉です。

 「それって、サポートされていますか?」

 特に何もおかしくはない、ITインフラ業界で当たり前のように飛び交うフレーズのように思えます。しかし、この質問の仕方は実はトラブルの元であり、リスクがあることをご存じでしょうか。


「サポート」という言葉は欧米と日本で異なる

 このシーンでの「サポートされていますか?」は、おそらく次の意味でしょう。

 「それって、実証済みですよね?」

 「それって、保守対象ですよね?」

 「それって、保証してくれますよね。何かあってもハシゴを外したりしませんよね?」

 日本人の性格上、明確に口にはしませんが、これは“オウンリスク”かどうか。つまり「何かあったら助けてくれますよね?」ということを意図しているはずです。

 “サポート”という単語の由来は、言うまでもなく英語のsupportですが、欧米人に「Is it supported?」と尋ねてみると、彼らは少し違った意味に捉えます。サポートしていますか? ではなく、「対応しているかどうか」という意味に捉えるそうです。

 この違い、分かりますでしょうか。欧米のエンジニアにおけるsupportedは、実証や認定が済んでいるかどうかは関係なく、単に対応しているかどうか、もっと言えば「機能があるかどうか」「動くかどうか」を意味します。日本人のイメージする責任や保証(guarantee)は意識していません。

 反対語も同じです。日本で「ノンサポート(ノンサポ)」と言うと、メーカーは責任を取らない“オウンリスク”を意味しますが、欧米での「non-supported」は“非対応”の意味になります。

日本のノンサポに近い「unsupported」

 こちらを出すと混乱するかもしれないのですが、英語のドキュメントを読むとunsupported という言葉も登場するはずです。unsupportedとnon-supportedは、日本語で意訳するとどちらも「未サポート」ですが、欧米人はこの2つを使い分けています。unsupportedこそが日本人のノンサポに近く、「利用できそうだけど保証はしない」です。

 次のように訳すると、イメージをつかみやすいかもしれません。

  • Unsupported OS:(意訳)未サポートOS (直訳)未実証OS
  • Non-supported OS:(意訳)未サポートOS (直訳)非対応OS
ITインフラにおけるsupported / non-supported / unsupportedの使い分け
supported:対応している non-supported:対応していない
unsupported:対応しているかもしれないが、実証していない(保証しない)

 「どちらにせよ、本番システムに採用できないので同じ」という意見も出そうですが、ベンダーと会話する際に「サポートしていますか?」と尋ねるのはリスクが残ります。

 直接会話したベンダー担当者には意図が伝わっているかもしれませんが、その担当者が質問を持ち帰り、メーカーに問い合わせるかもしれません。そして、メーカー側もまた海外の開発拠点に問い合わせる可能性があります。このような伝言ゲームになると、元々の意図は伝わりません。どこかでそっくり「Is it supported?」のような英文に訳されてしまうかもしれないのです。

 ここでもし、「相互検証はしていないけれど機能はある──」というステータスであったとしましょう。海外の開発者は「Yes」「Sure」などと答えますので、日本のお客様にはOKと回答されてしまうのです。

photo ベンダーへの確認は遠慮せず、より明確な言葉で

 このトラブルを防ぐために、ユーザーの皆様は「それは認定されていますか?」「ちゃんと保守してくれますよね?」とハッキリ伝えるようにしましょう。

 このように質問すれば、ベンダーやメーカー側も認定リストに載っているかどうか、保守対象かどうかを確認するなど、“support”より一歩先の情報を調査するはずです。



 日本人の“察する力”は欧米人にはない特殊能力だそうです。ですが、ITインフラは欧米製品が主流の業界。欧米人と直接やり取りすることがなくても、予防のために少しだけ心掛けてみてください。


小川大地(おがわ・だいち)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション



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