私たちのプライベートな情報が詰まっているスマホ。米国では「警察の捜査に対して、ユーザーがスマホのロックを解除しなくていい権利」が議論されてきました。そんな中、Appleのモバイル向けOS「iOS」の最新版にひっそりと加わった「ある機能」が話題になっています。それは一体……?
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先日、Appleのモバイル向けOS「iOS」の最新版「iOS 11.4.1」がリリースされました。従来版からのマイナーバージョンアップとして計22件の脆弱(ぜいじゃく)性が修正されたので、全てのiPhone/iPadユーザーはアップデートを適用すべきでしょう。
(参考)
そして今回のアップデートでは、iOSに追加された「新機能」に注目が集まっています。表向きは、アクセサリにちょっとした仕様変更があったようにしか見えません。しかし、その背景には、Appleが長年、米司法当局とユーザーのプライバシーを巡って繰り広げてきた“戦いの歴史”が横たわっているのです。
まずは、新機能そのものを確認してみましょう。もしあなたがiPhoneユーザーで、OSを「iOS 11.4.1」にアップデートしていたら、設定画面の「Touch IDとパスコード」(iPhone Xなら「Face IDとパスコード」)を開いてみてください。そこに「USBアクセサリ」のチェックボックスが追加されているはずです。初期設定はオフで、その状態については「iPhoneがロックされてから1時間以上たったときにUSBアクセサリを接続できるようにするには、iPhoneのロックを解除します」という説明があります。
この説明を読んでも、ぴんとこないかもしれません。そもそも「iPhoneにUSBケーブルを接続する目的」といったら、充電しか思い浮かばない人もいるのではないでしょうか。実は、外部のデバイスをiPhoneにUSBケーブルでつなぐと、iPhone内部のデータにアクセスできます。実際、iPhoneが出始めた時は、PCなどのいわゆる“母艦”にiPhoneを定期的につなぎ、ソフトウェア「iTunes」などを使って音楽や写真のインポートなどを行うのが、今よりもずっと一般的でした。
今回、「USBアクセサリ」のオンとオフを切り替えられるようになった最大のポイントは、「この機能をオフにした上で、iPhoneをロックしてから1時間以上たつと、外部デバイスからUSBでiPhoneに接続しても、中のデータにアクセスできなくなる」という点です。
では、なぜこのような設定が今になって追加され、しかもそれが話題になっているのでしょうか? その背景には、ずいぶん前に起きた「ある事件」が関係しているといわれているのです。
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