矢野経済研究所の発表によると、国内の非接触IC市場は急拡大し、2010年には8300万枚にまで達するという。
FeliCaを代表とする非接触ICは、「スピード」「ユーザビリティ」「セキュリティ」の3点で従来の磁気型カードや接触ICカードに対するアドバンテージがあり、事業者ニーズとユーザーニーズの双方で、メリットが合致している。普及の道筋はすでに出来上がっているといって間違いないだろう。
非接触ICカードの増加は、ドコモの「おサイフケータイ」を代表とするモバイルFeliCa携帯にとっても、強い追い風になる。
筆者は過日、小規模だが、おサイフケータイ利用者のグループインタビューを行った。この中で実際におサイフケータイ機能を利用していた全員が、JR東日本の「Suica」やANAマイレージクラブカードの「Edy」機能などの利用経験があった。非接触ICカードからおサイフケータイに、リテラシーの連続性が存在したのだ。
むろん、今後、おサイフケータイなどFeliCa携帯が標準的になれば、若い世代を中心に「ケータイから非接触ICを使う」層が拡大するだろう。しかし、FeliCa携帯があたりまえとなる前の世代、すなわち今のケータイユーザーの大半は、非接触ICカードを入り口にした方が、FeliCa携帯の利用を促しやすそうだ。増加する非接触ICカードを束ねて、さらに便利に使える「多機能カードホルダー」としてFeliCa携帯を訴求するのだ。
すでに携帯電話業界全体で、モバイルFeliCaの標準搭載化は既定路線になっている。事業者の中には、一足飛びにFeliCa携帯をメインにしようと考えているところもあるかもしれない。しかし、スムーズな普及と利用促進を考えるならば、FeliCaカードによる“地ならし”のフェーズをしっかりと考えた方がいいだろう。「いきなりFeliCa携帯」だけでは、利用が一部のリテラシーの高いユーザー層に偏ってしまう危険性がある。
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