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» 2007年01月25日 12時00分 UPDATE

事例紹介 日東ロジスティクス:SOX法対応はこうやって進めろ!! (1/3)

金融庁は、日本版SOX法のガイドラインを2007年1月に正式決定する見通しだ。日本版SOX法の概要が見えてくる中、「企業は具体的にどのように対応すればよいのか?」という情報はまだ少ない。今回は日本版SOX法対応に先駆けて、米国SOX法に対応した日本企業の事例を紹介する。

[大津心,@IT]

 日本版SOX法の具体的な姿がかなり見えてきた。11月6日に日本版SOX法のガイドラインである実施基準案が公開され、2007年1月中にも金融庁が実施基準を正式決定する方針だ。ベンダ各社は公開された実施基準や、すでに施行されている米国SOX法を参考にしながら、実施基準に対応した製品やシステム作りを進めている。このような情勢の中、今回は日本版SOX法への対応に先駆けて、日本版SOX法のお手本となった「米国SOX法」に対応した日本企業の事例を紹介する。

ALT 左)アイディーエス システム営業本部 取締役本部長 菊池清信氏、右)同社 システム一部 取締役部長 福田清男氏

 紹介するのは、日東ロジスティクスが2005年3月から約1年かけて行ったプロジェクトだ。日東ロジスティクスは三井物産関連会社である物産ロジスティクス・ホールディングスの100%子会社で、主に倉庫事業を手掛ける。親会社の三井物産が、米国SOX法に基づく内部統制を子会社にも求めていることから、日東ロジスティクスもERPパッケージソフト「GRANDIT」の導入に合わせて、米国SOX法への対応を決めた。

 このプロジェクトの詳細を、実際に導入を手掛けたアイディーエスのシステム営業本部 取締役本部長 菊池清信氏、同 システム一部 取締役部長 福田清男氏と、GRANDITコンソーシアムの会員でこのプロジェクトにおいてGRANDITの導入をサポートしたウチダユニコム GRANDIT営業部 課長 システムコンサルタント 高野英樹氏、同 GRANDIT営業部 課長 高山謙介氏の4名に話を聞いた。

米国SOX法対応への背景は

 日東ロジスティクスが導入を決めたGRANDITとは、コンソーシアム方式によってSI企業各社のノウハウを集めた第3世代のERPパッケージ製品だ。海外ベンダ製のERPシステムに不満を持ち、「自分たちが欲しいと思うERPがない」と思った日系ベンダ各社がコンソーシアムを設立し、開発に至った。コンソーシアムには、インフォベックを事業母体として、ウチダユニコムやNECネクサソリューションズなど10社がプライムパートナーとして参加。マイクロソフトとインテルが技術協力などを行っている。

 パッケージは、経理、債権、債務、販売、調達・在庫、製造、人事、給与、資産管理、経費の計10種類のモジュールで構成されており、Microsoft .NETを採用した完全なWebプラットフォームである点が特徴だ。BI(ビジネスインテリジェンス)EDI(電子データ交換)ワークフローなどの機能も標準搭載し、多通貨やマルチカンパニーなどにも対応している。

 今回GRANDITを導入した日東ロジスティクスは、1959年に三井物産から倉庫営業部門が分離独立し倉庫業を開始して以来、全国に物流センターを展開しているほか、通販事業なども手掛けている。現在も三井物産の関連会社となる「物産ロジスティクス・ホールディングス」の100%子会社だ。資本金4億円、従業員数205名。2003年1月にはISO 9001を、2005年7月にはISMS Ver.2.0(BS7799-2:2002)を取得している。

 同社の既存システムは分散型のクライアント/サーバシステム。在庫管理システムは独自開発で、財務パッケージと給与パッケージを本店/支店でそれぞれ活用するなど、システム統一ができていなかった。その後、ビジネス環境の変化に伴い、2005年1月からシステム統合の検討を開始。ERPパッケージ導入の検討中に、三井物産から米国SOX法の対応要求が来たことから、2005年10月からERPパッケージ導入プロジェクトを発展継承し、ERPパッケージ導入および米国SOX法対応プロジェクトへと変化した。

米国SOX法対応のスケジュール

 このような経緯を経て、米国SOX法対応プロジェクトは2005年10月にスタート。当初、GRANDITの稼働開始は2006年10月の予定だったが、米国SOX法に2006年4月から対応する必要があったため、計画を半年前倒しし、2006年4月分の処理からGRANDITによる米国SOX法対応の処理を開始した。

 ただし、2006年4月から開始したのは米国SOX法に関係する「会計/債権/債務/経費/資産」などのモジュール部分。「人事/給与/販売」や「在庫」といった業務分野については、2007年4月以降に段階的に対応していく予定だ。「GRANDITは10種類のモジュールで構成されているため、このようにモジュール単位で稼働することが可能だった。今後はモジュールを追加稼働させていき、最終的にすべてのシステムを1つのシステム管理下に置きたいと思っている」(菊池氏)と説明する。

 GRANDITは現在、サーバ2台で運用しており、DBサーバは日本ユニシスの「Enterprise Server ES7000」を使用。現在のところ経理部が主に使用しており、経費関連では100人くらいの社員が利用しているだけでユーザー数はまだ少ない。高野氏によると、「現在はまだ社員の教育途中なので、ユーザー数は少ない。これから全社員への教育が完了すると、経費処理や伝票処理でユーザー数と処理数が増えるだろう。今後ユーザーが増えたとしても、アプリケーションサーバの追加で対応できる」とした。

 そもそも、日東ロジスティクスがERP導入を考えた際の目標は、「業務の効率化」だった。途中から親会社の意向もあり、「米国SOX法対応」が加わった形だ。業務の効率化では、各支店における経理や総務の運用をシステム的に統一するほか、パッケージソフトの機能を重視して、カスタマイズは最小限に抑えてコスト削減を図ることを目標とした。

 そして、実際に導入してみたところ、最も効果があったのは「月次締処理」だという。ERP導入により、月次締処理時間が4分の1になったほか、従来は1つの伝票を直すのに1時間かかっていた処理が5分で終わるようになったという。「従来は支店と本店のシステムがきちんと統合されていなかったこともあり、支店の部署で入力した伝票処理が支店内で承認されてから、本店のシステムへ転送され、承認といったような経路をたどっていたので、非常に時間がかかった。ERPを導入してシステムが統一されて非常に早くなったようだ」(福田氏)と説明した。

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