無線LANを利用する上で、気になるのが「どれくらい速いか」「どこまで届くか」ということ。現在、最も広く普及している無線LANは、通信速度が最大11Mbpsだが、これは理論値でしかなく、実際には約半分程度のパフォーマンスになる。しかし、10BASE-T準拠の有線LANが理論値で10Mbps、実効速度は6Mbps程度なので、無線LANはこれとほぼ同等か、少し遅い程度だ。ただし、無線LANは無線チャンネルを共用しているため、同時に利用するユーザーが増えると、転送速度が落ちる。
伝送距離は環境や速度によって異なるが、最大11Mbpsの転送速度を実現するには、室内で50m、屋外では160mが上限とされている。もちろん、途中に障害物が多ければ、伝送距離はさらに短くなってしまう。
現在、最も多く利用されている最大11Mbps対応の無線LAN製品は、IEEE 802.11bという規格に準拠している。IEEE 802.11bは2.4GHz帯の周波数を利用する規格で、利用に免許などを必要としない。伝送距離や電波状態などによって、通信速度を11Mbps、5.5Mbpsなどに切り換えながら、通信ができるという特徴を持っている。
これに対し、5GHz帯を利用するのがIEEE 802.11aという規格で、最大54Mbpsという高速通信が可能だ。まだ対応製品は少なく、価格的にも高いが、高速通信のメリットを生かし、動画ファイルのストリーム再生などでの利用が期待されている。ただし、現時点では同じ周波数帯を衛星で使っているため、屋内での利用のみに限られている。