野菜や肉にも「ID番号」
生産者と消費者をつなぐ生産情報ネットワーク
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偽装ラベルに無登録農薬、BSE問題と、消費者の食産業への信頼が揺らぐなか、野菜などの生産情報(ここでは品種、産地、使用農薬、生産者名などの情報を指す)をネットで公開し、消費者が自由に検索できるようにする試みがスーパーなどで始まっている。食材の安全性をアピールしたい生産者と、安心して食べられる食材を求める消費者をいわば“つなぐ”試みでもある。
店頭に置かれた端末から、鹿児島県産黒毛和牛の生産情報を検索できるのがイオングループのスーパー、ジャスコ。今年11月には客が自宅のパソコンでも生産履歴を検索できるシステムを関東エリアでスタートさせる予定だ。また同じくスーパーのイトーヨーカドーでは、ラベルに書かれたID番号から生産情報を検索できる「顔が見える野菜。」を一部店鋪で試験的に展開。広報によれば「客の反応は上々で、時期は未定だが全国展開を考えている」というから、いずれも好調なようだ。だが売り場には番号のない野菜や肉も当然ながら存在するため、どちらを選択するかは客の意識や懐次第、となる。
■イオンお肉の安心確認システム(イオン)
www.aeongroup.net
ジャスコの一部店舗で展開。精肉コーナーに貼り出された牛の個体識別番号を店頭端末にタッチパネルで入力すると、出荷者やと畜日などが記された「出荷牛履歴証明書」と、BSE検査の結果通知書を表示・印刷できる
■顔が見える野菜。(イトーヨーカドー)
look.itoyokado.iyg.co.jp
シールの貼ってある商品のみ、インターネットで検索可能。農薬の使用目的や頻度などの情報が得られる。同社ではこのシリーズ以外の商品でも、生産者名をラベルに明記するなど「顔が見える」ことに力を入れている
公的機関が運営する“青果ネット”
将来、すべての農作物にID番号が!?
独立行政法人・食品総合研究所が8月に正式稼働させた『青果ネットカタログ「SEICA」』は、国内に流通する農産物の情報をデータベース化し、生産者と消費者、流通業者間で共有しようというもの。農産物に番号を振ってだれでも情報を検索できる点は先のスーパーと同様だが、公的機関だけに予算がつけば大規模な情報収集が可能な点に期待がかかる。
■青果ネットカタログ「SEICA」(食品総合研究所)
seica.info
8月にスタートしたばかりでまだ情報は少ないが、早ければ来年にもカタログナンバー付き野菜を店頭で見ることができる。農薬の使用目的や頻度、生産者情報、出荷情報が得られる。品名や産地を細かく指定して検索もできる。生産者が自ら情報を登録できるのも特徴だ
同研究所の杉山純一・食品工学部電磁波情報工学研究室長によれば、実際に県やJAなどからの問い合わせも多いという。
「(比較的小規模な)スーパーも、これを活用すれば低コストで生産情報を公開できる。技術は完成しているが、集めた情報をどうアウトプットし、生産者にとって利益のあるものにするかがこれからの課題」と杉山氏。データベースの充実には、売上増など生産者側の目に見えるメリットが不可欠なためだ。
生産情報のネット公開が、食品に対する消費者の信頼回復に直接つながるかは疑問が残る。が、農産物やその流通について知るよい機会にはなるはずだ。「消費者も(農薬などの)情報を見極める目を持つ必要がある」(杉山氏)。知識を得た消費者が目を光らせることで、問題の根を絶やすしかない。
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