ADSL利用者にとって、12M ADSLにおける最大の関心事は「本当に速いの?」という部分に尽きるだろう。とくに、現在1.5M/8Mのサービスを利用している人にとっては、手間とコスト(@niftyの場合6050円)をかけてまで12Mに乗り換える価値があるのか、という疑問が生まれる。
一般論として、よほど大きな環境変化(近所でISDNが開通して干渉が発生するなど)がない限り、1.5M/8Mサービスよりも速度が下がるということはない。よって、「乗り換えたら遅くなった」などという事態が起きる心配はないだろう。だが、どの程度の速度向上が期待できるのかわからないというもどかしさは残る。通信速度を保証していないADSLだけに、増速されたメニューが登場したからといって、それをそのままうのみにできないジレンマがあるのだ。
そんな12Mbpsに関する疑心を少しでも払拭するために、ここではすでに12Mサービスを利用している人へのアンケートから、12M ADSLの真の実力を明らかにしてみたい。
図5は、12Mサービス利用者の各速度における人数分布(全体の人数に対する割合)を棒グラフで表したものだ。これによると、1.5Mbpsと7Mbps付近が多くなっている。電話局からの距離など条件のよい人が導入した場合は6M〜8Mbpsという好結果を得られる一方で、条件の悪い人の場合、12Mサービスといえども実効速度は1.5Mbps程度に抑えられているようだ。なお、12Mbps部分の割合が多くなっているのは、実効速度と理論値を混同して回答した人がいたためと思われる。
参考として、8Mサービス利用者の速度分布もグラフ化してみた(図6)。12Mの場合と比べて高低差は少ないものの、似たような傾向になっていることがわかる。