今回のランキングには、「タダ」と「マニア」がインターネットで生き残るということが、すごく現れています。
Yahoo!ニュース、ワールドカップ、2ちゃんねる、どれも料金は取られないですよね。既存の文字メディアがみんな苦しくなって、ユーザーは全部インターネットに流れています。単にニュースを知りたいというだけだったら、Yahoo!ニュースでだいたいのことはわかってしまうんです。
ネットが価格競争を激化させたのは間違いないと思います。みんな、どこが一番安いかをネットで調べて、そのページをプリントアウトして店に持っていくんですよ。ネットでこの値段で売っているんだよって。情報が瞬時に使われて、デフレが促進されているんですよ。消費者にとってはいいことです。でも業者にとっては、インターネットはビジネスのチャンスというよりは、価格競争を厳しくするものです。そこからダイレクトに利益が上がるわけではないのに、ウェッブサイトは持たなければならない。持たなければ、競合相手にやられちゃうわけですよね。
もう1つはマニアなマーケットです。大量生産品でなくて、かなりマニアックなものを提供できるところが流行っています。一番極端なのがYahoo!オークションですよね。「非売品」「レア」「限定」などのキーワードで検索をかけると、山のように商品が出てくる。しかも、とんでもない値段が付いています。最近一番驚いたのがグリコのおまけに10万円。昭和40年のコーラの空き缶にも1万5000円付いていたんですよ。空き缶ですよ。実は、2002年は有料化によって、他サイトにユーザーが流れるかと思ったんですが、大丈夫でした。実にうまい料金設定でしたね。あれより高い料金を取ったら、雪崩を起こしてアウトになっていたんじゃないでしょうか。ピュアな情報提供型のインターネットビジネスモデルがなかなか成立しない中で、Yahoo!オークションは極めてまれな成功例です。IT革命論ブームのときに「ネットビジネスでは極めて少数の勝ち組しか残れなくって、後は負け組になってしまう」ということがよく言われました。「一度、勝ち組のポジションを得たサイトは、そこで収益を上げられる」という神話が生き残っているのは、Yahoo!オークションだけなのかもしれません。
今後は、新しいサイトが現在のサイトを凌駕することには、おそらくならないと思います。マニア向けのマーケットはあると思いますが。いま、コレクター向けのDVDボックスが売れていますが、あれよりももっとマニア向けで、コミケのインターネット版みたいなもの。1つひとつはめちゃめちゃ小さいけど、無数にあるという形が、大きなマーケットとして成り立つと思います。