NTT収容ビルが近所にあるのに、速度が遅い……。そんなケースもまれにある。
ADSLの速度は上で説明しているように距離によっても変化するが、ノイズなど通信経路上の干渉源からの影響で低下することも多い。たとえば、回線経路上に、幹線道路や鉄道などがある場合、道路を走る車からのノイズ、鉄道から発せられるノイズが回線に入り込むことがある。このようなノイズが存在すると、ノイズと同じ周波数帯を使うADSLの信号が使えなくなり、その分、速度が低下するというわけだ。
同様に、経路上で道路工事が行われているとか、業務用の大容量電源を使う工場がある場合などもその影響を受けてしまうことがある。
また、純粋に経路上の問題ということも考えられる。よくいわれるのはISDNからの干渉だ。電話回線はNTT収容ビルから、何本ものケーブルを束ねた太いケーブルで配線され、そこから徐々に細くなって家庭にまで届くが、自分の回線の近くにISDNが配線されていると、その干渉を受けてADSLの速度が低下することがある。さらに、NTT収容ビルから家庭までの回線は、途中でブリッジタップと呼ばれる機器によって分岐されることがあるが、このブリッジタップが存在する場合も速度が低下することがある。
前述した道路や鉄道などは、どうしようもないが、ISDNの干渉やブリッジタップなら収容替えなどの対策で解決できることもある(次ページ参照)。
幹線道路や鉄道からのノイズなどの影響で速度が低下することもあるが、これらへの対処は事実上不可能。対して、ISDNからの干渉やブリッジタップの影響がある場合は、プロバイダに相談することで収容替えやブリッジタップ外しの工事が可能(有償)