FOMAでラルクのライブを生中継
テレビ電話ケータイの小窓からのぞく生放送。今後の行方は?
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7月6日、アーティストのライブ映像を生中継で携帯電話に配信するという、世界初の試みが行われた。配信されたのは、東京・代々木体育館で行われた「L'Arc-en-Ciel Shibuya Seven days 2003」の最終公演。NTTドコモのFOMA Vライブでライブ開始から終了までを配信した。
ケータイでライブを観るといっても、なかなかユーザー的にはピンとこないかもしれない。同サービスの仕掛け元、グローバル・プラスのチーフプロデューサー高橋卓也氏は、今回の企画を「ファンのための救済措置として実験的に行った」と語る。
「今回のライブはチケットを取れないファンが多かったんです。そういう人たちへのフォローとして試みました」
だが、いくら救済措置とはいっても、しょせんは携帯電話。あの小さな画面で本当にライブが楽しめるのだろうか?
「テレビ電話の仕様上、カクカクするのは仕方ないですが、映像自体はかなりよくて、会場の後ろの方から観るよりも迫力があったんじゃないかと思います。ライブ当日に会場の外でFOMAの映像を見ながら、ライブの音漏れを聴いている子もいました。そういう使い方もあるんだなと(笑)」
7月6日のライブ当日に生放送が行われたほか、8月6日にも再放送を行う。対応する端末は、「N2102V」をはじめとするテレビ電話対応FOMA端末。利用するには、ドコモの「インフォゲート」サービスに加入し、さらにメディアキャストに会員登録(無料)しておく必要がある。視聴には300円の情報料に加えて、テレビ電話の通信料が必要
■メディアキャスト
www.mediacast.tv(携帯用)
www.aquacast.co.jp
■ARTIST DELI
www.g-plus.jp(携帯用)
ただし、課題もある。視聴料金は情報料300円だが、これにテレビ電話の通信料(デジタル通信料)が加わる。最初から最後まで2時間ライブを観た場合、通信料はプランにもよるが、3000〜6000円くらい。チケットと同じくらいの料金がかかってしまう。全国どこからでも同じ料金なので、地方からライブに来る交通費などを考えれば安いといえるかもしれないが、現状では視聴料金よりもデータ通信料の方がはるかに高くなってしまうのだ。
さまざまな可能性を感じさせてくれるケータイへのライブ映像配信だが、超えなければならない壁も多い。プロモーション、ファンへのフォローなど、事務所側が負担する「コスト」で終わるのか、採算性のあるビジネスとして成立するのか。カギになるのは、今後通信インフラや配信システムのコストがどこまで下がるかなのだろう。
ケータイをリモコンにコンテンツを見る |
グローバル・プラスは、今回のライブ生中継以外にもケータイを活用したユニークなプロモーションサービスを提供している。L'Arc-en-Cielのメンバー、kenのソロプロジェクトであるSONS OF ALL PUSSYSは、ツアー来場者向けに未公開映像などの特典コンテンツを提供。このサイトでは、操作をすべてケータイで行うシステムを採用した。単なるID・パスワード方式では、それを知られれば来場者以外もアクセスできてしまうが、アクセスごとに異なる4ケタの数字が表示されるため、個人を特定することができる。
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