企業オリジナルの映画配信がブーム?
CMでは表現しきれないブランドイメージの訴求に効果的
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ブロードバンド環境が普及し、高画質の映像を手軽にパソコンで見られるようになったいま、企業は新しいプロモーション手段として、ショートフィルムを活発に利用し始めている。
たとえばマツダでは、昨年登場した「ATENZA」の新グレード車種「23Z」の魅力を、リュック・ベッソンプロデュースのショートフィルム『RUSH』で余すところなく表現する。7月10日の配信から約3か月で、当初の目標を大幅に上回る累計90万アクセスを記録し、効果を上げている。「当初は前編を7月に、後編を10月に公開する予定だったが、お客様からの要望が多く、公開を1か月前倒しにした」と、ショートフィルム配信の立案者でもある、マツダ国内広報部の及川尚人氏は話す。
また、岩井俊二監督によるキットカットオリジナルショートフィルム『花とアリス』を配信するネスレコンフェクショナリーによると、3月24日の第1章公開後、予測を大幅に上回るペースでアクセス数が伸び、10月3日の第3章完結編の配信で200万アクセスを突破したという。
両社がショートフィルム配信に至ったいきさつは、いずれも「15秒や30秒のテレビCMでは、商品の魅力やコンセプトを伝えきれない」ということ。マツダでは60秒のテレビCMを制作したこともあるが、60秒ではCM枠の確保すら難しかったという。
「ユーザーにとっておもしろく、かつ商品を紹介するためのコンテンツを考えたときに、われわれにとってはクルマが主役になる映画しかなかった。そこで『TAXi』シリーズを手掛けるリュック・ベッソンに、ダメ元で依頼した」(及川氏)
熱意の甲斐あって『RUSH』では、ATENZA 23Zの魅力である18インチのアルミホイールによるスポーティな走りが、ショートフィルムの全編を彩っている。
一方、ネスレの『花とアリス』には商品そのものは出てこないものの、鈴木杏と蒼井優による青春時代の恋愛模様や友情の中に、「“Everybody needs to stop = ときには立ち止まって、気持ちをラクにすれば見えてくるものがある”という、キットカットからのメッセージを込めている」(ネスレコンフェクショナリーマーケティング本部の丹下昭司氏)という。また、今回の作品のDVD付きキットカットを限定販売するなど、ショートフィルムを核として、マルチなプロモーションも展開している。両社とも、テレビCMはサイトへのアクセスを促す告知的な作りにしている。
ほかにも、さまざまな業種で同様の動きが出ている。今後は、企業のプロモーションにネットでのショートフィルム配信が欠かせないものになりそうだ。
■MAZDA ATENZA『RUSH』
special.atenza.mazda.co.jp/movie/rush
リュック・べッソンプロデュース、『TAXi2』『TAXi3』のジェラール・クラヴジック監督がメガホンを取り、真っ赤な「ATENZA 23Z」が南フランスのマルセイユを疾走するという大迫力のカーアクションムービー
■ネスレ キットカット『花とアリス』
www.breaktown.com/cinema
鈴木杏と蒼井優のフレッシュな魅力で、青春時代の恋愛や友情を岩井俊二監督が巧みに演出。キットカットのコンセプト同様、見終わったあとに“心のブレイク”が感じられる作品。数量限定でDVD付き商品の販売も行った
■mod's hair『Cheap Trip』
www.mods-style.com
フォトグラファー蜷川実花の初監督・プロデュース作品で、自分の生き方を探す女性が魅力的に描かれている。メールアドレスを送信すると観賞できる
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