低価格で手軽に利用できる無線LANブロードバンドルータは、会社だけでなく家庭内での使用に特に有効だといえる。先にも書いたように、10BASE-Tの有線LANと変わらないデータ転送速度でネットワークを構築することができるだけでなく、イーサーネットケーブルを必要としないので、家中どこからでもブロードバンド接続ができるようになる。
例えば、マンションでは、電話口が決められていることが多い。ほかの部屋でパソコンを使いたい場合に無線LANブロードバンドルータを設置すれば、別の部屋でもインターネットにアクセスできる。また、一軒家の場合も、1階部分の居間に電話口があり、そこにADSLモデムを設置しなければならなくても、2階の部屋から無線LANでインターネットにアクセスするといったことができるのだ。どちらのケースもイーサーネットケーブルを引き回すとなると、ドアが閉まらなくてもよいとあきらめるか、壁に穴を空けて配線する必要がある。同居人がいる場合、けんかの火種になることだろう。
無線LANは、利用形態によって2つのモードに分けることができる。
1つは、無線LANのアクセスポイントを経由せず、無線LANカードを装着したパソコン間で、ピアツーピアの通信を行う形態で、アドホックモードと呼ばれている。アドホックモードは、手軽にほかのパソコンと無線LAN接続ができるのが特徴で、インターネットに接続する必要がない小規模のLANに向いている。パソコン間でファイル交換などを行うのであればアドホックモードで十分だ。
もう1つは、無線LANのアクセスポイントを経由して通信するインフラストラクチャモードだ。無線LAN環境でインターネットに接続する場合はこのインフラストラクチャモードを利用する。アクセスポイントを経由することで、有線LANと無線LANを統合することも可能だ。