普及しつつある無線LANだが、現在主流のIEEE802.11b規格はいくつかの問題点を抱えている。
IEEE802.11bが使用する周波数帯は、ISMバンドと呼ばれる2.4GHz帯を使用してデータ通信を行っている。2.4GHz帯は、免許不要の周波数帯なので、無線LANのほかに電子レンジ(2450MHz)やアマチュア無線(2400M〜2450MHz)などでも利用されている。しかし、もっと問題なのは、Bluetooth(2400M〜2497MHz)だ。
IEEE802.11b規格の無線LANで使われている直接拡散方式に対し、Bluetoothは周波数ホッピング方式を採用している。周波数ホッピング方式は、ある一定の周期で周波数を切り替えて通信を行うというもの。IEEE802.11bとBluetoothは相互に干渉するが、Bluetoothは2402M〜2480MHzの中で1MHzごとに79個のチャネルを設定し、1秒間に1600回のチャネル切替を行いながら通信を行うため、無線LANや電子レンジなどから受ける影響は小さい。逆にBluetoothがIEEE802.11bに与える影響は大きい。
次の問題点がデータ転送速度だ。無線LAN環境が便利だといっても、現在主流のIEEE802.11bではヤフー!BB などをはじめとする8MbpsのフルレートADSLの能力を生かすことは難しい。というのも、8Mbps ADSL接続サービスの実効スループットは5M〜6Mbps程度なのだが、無線LANのIEEE802.11bの実効スループットは4M〜5Mbps程度といわれているためだ。