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JBLの新たな頂き――「Project EVEREST DD66000」

» 2006年09月08日 19時15分 公開
[ITmedia]

 ハーマンインターナショナルは9月8日、JBLの創業60周年記念となるスピーカー「Project EVEREST DD66000」を9月21日より販売開始すると発表した。価格は1本315万円。ローズウッド、チェリー、エボニー、メイプルの4種類が用意される(エボニーとメイプルは受注生産で、価格は346万5000円)。

photo Project EVEREST DD66000
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 新製品は「Project K2」に続く同社スピーカーの最上位モデル。超高域コンプレッションドライバー「045Be-1」と高域用コンプレッションドライバー「476Be」、2本のウーファー「1501AL」で構成された拡張型2ウェイスピーカーとなっている。

photo カットモデル

 045Be-1は25ミリ径ベリリウムダイヤフラムと50ミリ径ネオジウム磁気回路を搭載。ベリリウムを使用することで50キロヘルツ以上の超高域まで分割振動なしに再生するほか、クリアな音場再生をも可能にする。カバーにもリブ構造を採用したアルミダイキャストバックカバーを採用することで超高域振動を余すことなく音に変換するという。

 476Beは045Be-1と同じくダイヤフラムにベリリウムを使用。サイズは100ミリ。アルミやマグネシウムのダイヤフラムでは位相干渉によって大きく失われてしまう高域出力を余すことなく出力する。アルミリボン線によるエッジワイズ巻きボイスコイルを高耐熱ボビンに装着した軽量ボイスコイルアッセンブリーを採用。振動系を軽量化することでダイヤフラムの特性を最大限に引き出し、高い出力とパワーハンドリングを達成した。

 ウーファーの1501ALはアルニコ5DGマグネットと大口径ボイスコイルを採用した15インチ(380ミリ)の大型ユニット。磁気回路には減磁対策として1.6ミリ厚のスチールリング16枚と、0.8ミリ厚のカッパーリング15枚を交互に積層させ、トッププレートに装着した。ボイスコイルには新開発の100ミリ径30.5ミリ巻き幅の大口径エッジワイズ巻きアルミリボンコイルを採用。コイル密度を高めることで、トランジェント特性を向上させると共に、耐入力の向上を図っている。

 振動板は裏面外周部に独自のアクアプラス・コーティングを施したピュアパルプコーン。コーン外周部のエッジにはEPDMフォームラバー、ダンパーはNOMEXダンパー2枚とアルミリングを組み合わせたデュアル構成となっている。ボールピースにはボイスコイル冷却用のエアートンネルも設けられている。

photophoto ウーファーの「1501AL」(左)、スチールとカッパーのリングを交互に積層させている(右)

 特徴的なフロントバッフルは高域用ホーンのサイドウォールの役割を持ち、高比重熱効果樹脂「SonoGlass」製ホーンリップとともに巨大な開口部を持つホーンを形成する。キャビネット外側の平面パネルは25ミリのMDF材、曲面パネルは厚みの異なる2枚のMDF材を組み合わせる。内部材は曲面が多用されており、剛性を高めるとともに内部定住波の発生を抑えている。

 ウーファーバッフルは45ミリの厚さを持ち、巨大な1501ALをしっかりと受け止める。また、バッフル表面には天然レザーをはりつけることで質感を高めると共に、表面で音の吸収や拡散を行う役割も果たしている。ウーファーバッフル下部にはユニット出力調整スイッチなど、背面には2組の入力ターミナルが用意されている。

photophoto 内部材(左)、SonoGlassを使用したホーンリップ(右)
photo 周波数特性。2つのウーファー(LP1/LP2)と超高域コンプレッションドライバー(UHF)、高域用コンプレッションドライバー(HF)で30ヘルツから50キロヘルツを超えるワイドレンジ再生を実現している
photophoto ウーファーバッフル下部のスイッチ類(左)、背面のターミナル(右)

 本体サイズは965(幅)×1109(高さ)×469(奥行き)ミリ(足含む/スパイク含まず)、137キロ(グリル含まず)。

 「EVERESTには開発者を含めた関わったすべての人の情熱が込められている、命を懸けて作った素晴らしい製品。世の中にはさまざまな思いの込められた製品があると思うが、これ以上に思いのこもった製品はないと断言する」(JBL コンシューマープロダクツ社長 Paul Bente氏)

photo 「初めてEverestの音を聞いたとき、子供のころ初めてステレオを聴いた感動と同じものを感じた」というPaul Bente氏

 「ただし、次のことも考え始めている。頂点にあたる製品として作り出したが、さらにこれを超えるものを作りたいと考えている。ひとりの“Hi-Fiジャンキー”としても、次の製品を楽しみにしている」(Bente氏)

photo 「オーディオ業界に生きるものとしては、5年10年に一度は“これ以上はあり得ない”という製品にお目にかかりたいもの。JBLの還暦を祝うととも、未来への希望を感じ取れる製品と感じてもらえれば幸い」(ハーマンインターナショナル 代表取締役社長 安田耕太郎氏)

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