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55V型有機ELとスマートテレビを強力プッシュ、韓国Samsung2012 International CES

» 2012年01月12日 13時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 年始恒例の総合エレクトロニクスショー「2012 International CES」が今年も米ネバダ州ラスベガスで1月10日(現地時間)よりスタートした。本稿では、9日に開催された韓国Samsung Electronicsのプレス発表会の模様から、テレビ関連を中心にピックアップして紹介していく。

9日に行われたSamsung Electronicsのプレス発表会。大会場ながら、入り口で開始1時間以上前に並んでいた人が立ち見扱いになったり、満員で会場から締め出されるほどの盛況ぶりだった。ちなみに筆者は開始3時間前からの行列並びでなんとか先頭集団という感じ(左)。韓国Samsung Electronicsコンシューマーエレクトロニクス部門プレジデントのBoo-Keun Yoon氏(右)

 Samsungのプレス発表会では、まず壇上に韓国Samsung Electronicsコンシューマーエレクトロニクス部門プレジデントのBoo-Keun Yoon氏が登場して同社全体の概況と戦略目標について説明を行い、次いで米Samsung Electronics AmericaプレジデントのTim Baxter氏が北米市場に投入する新製品やサービスについて紹介した。

 TV製品だけでなく、スマートフォンからタブレット、カメラから白物家電まで、業界随一の幅広いヒット商品ラインアップを持つのが、Samsungの大きな強みだ。Yoon氏はSamsungの家電における目標として「シンプル」「より賢く(スマート)」「さらに楽しめる」の3つを掲げ、それらを「Pushing Boundaries」(限界への挑戦)をキーワードにさらに突き詰め、さらに互いに連携し合うことで新たな価値を創造していくことが目標だと語った。

Samsungの家電における3つの目標は「シンプル」「より賢く(スマート)」「さらに楽しめる」ものであるということ。テレビだけでなく、スマートフォンやタブレット、それ以外の家電でもヒット商品を持つSamsungでは、それらを互いに結びつけて新たな価値の創造を目指す

 振り返れば、今日の「スマートテレビ」の流れを脈々と続けてきたのもSamsungだ。同社は2008年のCESでYahoo!との提携で開発した初期型のスマートTV製品を参考展示しており、これを年々進化させ続けている。当時、Yahoo!ウィジェットのような仕組みが受け入れられるのかどうかについても疑問の声が多かったが、スマートテレビとして1つの機能または1つのジャンルとして昇華させてきた点は評価に値するだろう。同社ではこのスマートTV戦略をさらに推し進め、今回のCESにおける目玉の1つとして全面プッシュしている様子がうかがえた。

スマートテレビをプッシュする同社は、「Smart Interaction(反応)」「Smart Content」「Smart Evolution」という3つの「Smart(賢さ)」を実現を掲げた(左)。スマートテレビのサービスについて言及する米Samsung Electronics AmericaプレジデントのTim Baxter氏(右)

スマートTVにおける「Pushing Boundaries」。ポイントは「コンテンツ」「サービス」「接続性」の3点にある。充実したコンテンツやサービス、そしてデバイス連携を実現する接続性がポイントということだ(左)。過去のSamsungのスマートテレビ。当初はYahoo!ウィジェットを動作させる程度の簡易だったものが、ユーザーインタフェースとともにアプリ実行プラットフォームとしての機能を強化し、今日へと至っている(右)

パフォーマンスアップのスマートテレビ

 今回発表されたのは「ES8000」というスマートテレビ製品で、デュアルコアプロセッサの搭載によりパフォーマンス強化を狙った点が特長となる。U型スタンドを採用したデザインや、75V型という大型パネル、ビデオチャットだけでなく顔認識やモーションセンサー、ボイスコントロールにも利用できる組み込みカメラ/マイクなど、ハードウェア的に大きな進化を遂げている。

CES 2012で発表されたのが「ES8000」というスマートテレビ製品だ。デュアルコアプロセッサを備え、強化された「Smart HUB」機能。デザイン重視のU型スタンドに75インチのパネル、ビデオチャットだけでなく顔認識やモーションセンサーにも応用される組み込みカメラ/マイクなど、機能面で大きな進化を遂げている

 ソフトウェア/サービス面では、スマートTV機能の中核となる「Smart HUB」機能をユーザーインタフェースを含めてブラッシュアップし、さらに映像コンテンツやゲームなどのアプリの豊富さでライバルとの差別化を図った。スマートTVのOSならびに、アプリ実行環境やコンテンツ配信プラットフォームはSamsung独自のものとなるが、ここ最近はパートナーや開発者の拡充に努めており、独立したプラットフォームであっても十分に魅力的な水準に到達しつつあるようだ。

 対応アプリの例として、大人気ゲームの「Angry Birds」を紹介したほか、一度購入したコンテンツをテレビ、スマートフォン、タブレットで共有できる「Media HUB」機能など、総合家電メーカーのSamsungならではの特長も打ち出している。

Samsungのスマートテレビ戦略がここ最近で大きく変化した理由の1つに、「Samsung Apps」と呼ばれるアプリ実行環境を備えた点にある。IFA 2011でも広くアプリ開発者とパートナーを募集する旨の発表を行っており、アプリ実行プラットフォームとして差別化を図っている様子がうかがえる(左)。コンテンツ配信サービスの「Media HUB」。同サービスの大きな特徴として、一度購入したコンテンツは、TVからスマートフォン、タブレットまであらゆる対応デバイスで閲覧できるメリットがある(中)。海外でゲームといえば「Angry Birds」は欠かせない。まず同ゲームの動作をアピールすることが海外の発表会におけるお約束といえる。なお、Samsungデバイス独占でAngry Birdsのアニメ作品を配信するサービスも用意されるという(右)

筆者が個人的に面白いと思ったのが「Family Story」と呼ばれるサービス。子どもの成長記録や旅行風景の記録だけでなく、離れた場所にいる実家や家族とのメッセージ交換やビデオチャットなどの「Connectivity(接続性)」を支援する(左)。操作が複雑になりがちなスマートTVにおいて、モーションセンサーや音声コマンド、顔認識によるプロファイル切り替えなど、操作を支援する機能が多数用意されている(中、右)

55V型有機ELも登場

55V型の有機ELテレビ

 さらにSamsungの発表会では、LGに続いてこちらも噂の「55インチ有機EL TV」が紹介されている。LGの発表会よりさらに遠い距離での撮影だったため、細かい画質などの確認はできなかったが、LG同様、薄さや画質以外の言及はなく、具体的な販売価格帯や投入時期、スペックの詳細などについても触れられなかった。そのあたりは、今後のCES会場における取材リポートの中でフォローしていければと思う。

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