ハイレゾでストレス軽減? 「耳で聴くだけではダメ」と専門家:脳機能を活性化(2/2 ページ)
音楽と脳の関係を研究する本田氏が高周波な音の癒やし効果について解説し、イヤフォンやヘッドフォンで聴いてもあまり効果が得られないことを明らかにした。
ストレス社会を生き抜くための音環境作りとは
本田氏は、ハイパーソニックの健康・医療分野への応用についても言及した。「薬を飲まなくても音を普段から聴くことで病気の予防や治療に役立つよう、投薬と同じレベルで安全性を検証するなどの臨床実験や研究を進めていく」という。具体的には、うつ病、統合失調症、不安障害、高血圧、肥満、認知症などへの効果を期待するとしている。
本田氏によると、都市は高周波が欠乏しており、テレビの周波数帯域は8〜1万Hzほどで、道路工事の騒音でも2万Hz以下だという。日本では茨城県つくばで5万Hz以上の音を計測できたが、「多種多様な昆虫がいる熱帯雨林の環境音が超高周波を豊富に含む」と本田氏は説明する。会場ではボルネオ島で録音してきた音源を特製スピーカーで再生しながら講演が行われ、音を止めるとどこか圧迫感があった。環境音という面から見ても、現代社会はストレスにあふれているのかもしれない。
これまで彦根市で音環境をハイパーソニックで快適化する実験を行っており、「脳機能の活性化、ストレス低下、免疫力増強、快適性向上などの効果が見られた」と本田氏は報告した。熱気を帯びた会場からは「ハイパーソニックを利用すれば頭が良くなるのか」「ボルネオ島の音源や特製スピーカーは購入できるのか」など矢のように質問が飛んでいたが、「直接的に学習機能を向上させる効果はなく、音源やスピーカーの販売も今のところ予定はない」という。音楽への関心・感度が高いハイレゾ塾の観客のみならず、ストレスフルな現代社会に生きる我々にとっても身近に感じる研究内容だといえよう。
関連記事
- ポリフォニーを再解釈する現代ハイレゾ技術――「Auro-3D」でバッハは現代に蘇る!?
「Dolby Atmos」「DTS:X」といったオブジェクト型音響技術が話題になっているが、AV評論家の麻倉怜士氏は「Auro-3D」(オーロ3D)という第3の方式が音楽表現の新境地を拓くと指摘する。斬新なサラウンド表現で有名なレーベル「UNAMAS」(ウナマス)の新録音源を例に詳細を聞いた。 - ハイレゾオーディオ機器市場は2年で4倍に拡大――GfK Japan調査
ジーエフケー マーケティングサービスジャパンが家電量販店におけるハイレゾオーディオ機器の販売動向を発表した。 - オリオスペック、USB DAC+NASで「80年代J-ROCK」ハイレゾ音源を楽しめる試聴イベント――8月1日
オリオスペックは、ASUSTOR製NASとUSB DACを組み合わせた環境でハイレゾ音源の試聴を行えるイベントを開催する。 - ハイレゾが変わる――英Meridianのボブ・スチュアート氏に聞いた“MQAの最新情報”と「PHA-1」の“隠し機能”
来日した英Meridian Audioのボブ・スチュアート氏を直撃。同社が提案する「MQA」の最新動向、そしてプレミアムヘッドフォンアンプ“Prime”「PHA-1」のディープな使いこなし方について、じっくりと話を聞いた。 - ポタフェスは「音版コミケ」? そして気になる今後――「ポタフェス Limited」ロングインタビュー(後編)
後編では「ポータブルオーディオフェスティバル(ポタフェス)2015 Limited」のイベント全体を振り返ってもらった。さらに来年以降の全国ツアー構想、そして年末に過去最大規模になることが見込まれている東京の「ポタフェス」についても聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.