従来の8Mbpsを超えるADSLサービスが出揃った。各サービスとも最大12Mbpsまでの速度向上、収容局から7kmまでの利用可能距離を実現している。しかし、サービスによって採用する技術が違うため、それぞれ対応のモデムに変更する必要がある。また、速度の向上は収容局からの距離が近いほど効果があるため、10Mbps以上の速度が見込めるのは収容局から半径2km以内といわれている。それでも半径2〜4kmで1Mbps速くなったケースもあり、ISDNしか選択できなかった地域でもADSLを利用できるメリットは大きい。こうした12Mbpsサービスの最新技術を解説していこう。
12Mサービスを理解する前に、従来のADSLの仕組みを理解しておこう。ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line」の略で、一般の音声通話用の電話回線を使用して高速なデータ通信を可能にする「xDSL」技術のひとつ。一般の電話回線に使用されるメタルケーブルでも幅広い周波数帯域のデータを転送できるが、実際に音声通話で使用される周波数帯域は300Hzから3.4kHzの低い帯域だけだ。そこで、4kHzを超える帯域を利用してデータ通信を行おうという技術である。
ADSLには北米仕様のAnnex-A、欧州仕様のAnnex-B、日本仕様のAnnex-Cがある。また、それぞれ1.1MHzまで使用するフルレート規格G.922.1(旧称G.dmt)と522kHz帯域までのハーフレート規格G.922.2(旧称G.lite)の2種類が存在する。