ついに発売!FOMA SH900i


 「単に、シルバー、ブルー、レッドではなくて、言葉の響き、字の持つパワーを端末にも取り入れていこう」


シャープ デザインセンターの藤本英俊主事

 3色がラインアップされるシャープ製の「FOMA SH900i」。そのカラーリングテイストはこんな意図から作り上げられたと、シャープ デザインセンターの藤本英俊主事は話す。

 携帯電話のカラーは、多くの場合ユーザーの意識調査に基づいて決定される。無難なシルバーは外せない、女性向けにピンクや淡いブルーを……などなど、ユーザーが受け入れやすい色の上位3色を選ぶということが多い。一時期、どのメーカーの端末も「シルバー」「ブラック」「ピンク」の3色展開になってしまったことがあったが、これがマーケティングに基づくカラー設定の限界だった。

 SH900iで藤本氏は、具体的な色の指定はなしにテーマで色を決めるという課題に取り組んだ。そのテーマとは、「究極」「知性」「情熱」である。


究極=“鋼(はがね)” 最強の端末にふさわしい色

 藤本氏がテーマを解釈する際に念頭に置いたのは「日本のいい色を取り入れていこう」ということ。

 まず第1のテーマ「究極」のイメージとして、選んだのが“鋼(はがね)”だ。「ひとつは日本刀の世界だった。日本人のDNAに刻まれた究極の美」(藤本氏)。刀鍛冶が鍛えに鍛えた究極の道具──日本刀の“鋼(はがね)”は、何も足さない何も引かないという究極の代名詞である。

 そして藤本氏が与えた“鋼(はがね)”の名は、色の名称ではなく光の表情の名前だ。刀の地の黒みさえ帯びた鈍い光、切っ先のきらめくまばゆい光、その間の虹色にさえ見える光……。そうしたテイストを、SH900iにも再現しようとさまざまな工夫を凝らした。

 例えばカメラの周囲を覆う金属パーツは、アルミ製ではない。ヘアライン加工といえばアルミが真っ先に思い浮かぶが、「磨いだ刃物の色を出すには、アルミでは白くて軽い感じになりダメだった。もっと重圧で冷たい本物感を出したかった。」(藤本氏)とこだわりを貫いた。脇に刻まれた「AUTO FOCUS」の文字は、光の具合で7色に輝く。


知性=“碧(あお)” 情報量の広がり

 2つ目のテーマ「知性」は、SH900iの大きな特徴である「ドキュメントビューア」とも関連する。Word、Excel、PowerPoint、PDFなどのデータをminiSDに入れておけば、SH900i上で閲覧が可能なこの機能は、従来の携帯電話にはない“情報量の広がり”を意味する。

 藤本氏が「知性」に対して与えたのは“碧”。七宝の一つとされる宝石「瑠璃の色をモチーフ」に、「吸い込まれるような、深みのある、イキな色」を目指した。

 いわゆるブルーや紺ではない。「紺だと、深いというよりも暗い」と藤本氏が話すように、輝きを持ちながら角度によって落ち着いた趣を見せる“碧”。知性の深みを感じさせる色がここに仕上がった。


情熱=“紅(くれない)” 3Gが始まるパワー感

 最後のテーマ、「情熱」は、「2Gから3Gに移行する意気込み、3Gが始まるパワー感を表現した」(藤本氏)。

 イメージしたのは「艶紅(つやべに)──江戸時代の化粧品」だ。あでやかな紅を磁器の皿に塗り重ねていった色、それがSH900iが目指したものだ。

 「最後まで色の調整に苦労した」というように、“紅(くれない)”も角度によってさまざまな表情を見せてくれる塗装の芸術だ。


シンプルでソリッド〜単純な形態の組み合わせ


シャープ 商品企画部の山口毅氏

 SH900iのデザインを一言でいえば、「ユーザーに媚びていない」となるのではないか。ある意味、ユーザーが何を求めるか? に従って決められてきた携帯デザイン。SH900iのデザインは、そうした手法とは対極を成すものだ。3色に共通するメインテーマは「存在感と誇り」。

 「存在感といっても“目立つ”という意味ではなく、静かなる存在感。ノイズではなくソリッドな存在」(企画を担当した山口氏)

 多くの900iシリーズと違い、ツートンカラーも使わず、敢えてシンプルでソリッドなデザイン・カラーを選んだ。端末のデザインも、幾何学的な形状を組み合わせ、それを繰り返す「ジオメトリック・アーキテクチャー」。単純な形態を組み合わせ、敢えてカメラなどの高機能さが目立たない構成にした。

 それは携帯電話のデザインは単体で完結するものではないという認識からだ。「人との関係が重要。使っていくことで、互いに引き立て合うものにしたい」

 ユーザーに媚びず、シンプルかつ高級感を持たせ、ユーザーが使っていく中で、有能なパートナーとして愛していけるデザイン。使い込むほどに愛着がわく、それがSH900iの目指したものだ。

ついに発売!FOMA SH900i

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