2020年には下り最大10Gbpsに――ドコモが「5G」技術を紹介:CEATEC JAPAN 2013
ドコモはCEATECで次世代通信技術の「5G」を紹介している。2020年の実現を目指す5Gでは、下り最大10Gbpsもの超高速通信が可能になるという。
NTTドコモがCEATECにて「次世代移動通信 5G」について参考出展している。「5G」は、現在のLTEやLTE-Advancedなどの「4G」に続く通信方式。
LTEの通信速度は現時点で下り最大150Mbpsだが、5Gでは下り最大10Gbpsにまで拡張するという。これを実現するうえでカギを握るのが「高周波数帯」と「広帯域」だ。ドコモが10月に開始を予定している下り最大150MbpsのLTEサービスでは、20MHz幅を使っているが、5Gの10Gpbsもの速度は、1GHz幅(1000MHz幅)を使うことで実現する。
現在モバイル通信に使用している帯域には1GHz幅もの空きはないので、より高い周波数帯を開拓する必要がある。今回ドコモがブースで紹介している5Gのシミュレーションでは、20GHz帯/1GHz幅の使用を想定しているという。5Gに向けて高周波数帯を使用するかどうかは、今後ITU(国際電気通信連合)が決定し、その後、各国で帯域を割り当てる形になる。
高周波数帯には遠くまで電波が届きにくいというデメリットがあるが、ドコモは「スモールセル」(小型基地局)を活用してこれを解消していく考えだ。「高周波数になるほど(1つの基地局でカバーできる)エリアが狭くなるので、スモールセルを多数打つことで、1つの基地局につながるユーザー数が増えて、1人が占有できる帯域幅が増す。これによってパケ詰まりのようなものも抑えられ、安定して通信できる」(説明員)。また、基地局と端末に入れるアンテナの数を、8×8、16×16などに増やして速度を上げることも想定している。
スモールセルと高周波数帯に期待が集まるが、高周波数帯では(車や電車などでの)高速移動中に安定して通信をするのは難しいため、「LTE-Advancedと併用することになる」(説明員)。また、高周波数帯の電波は屋内には届きにくくなるので、こちらはWi-Fiスポット、フェムトセル、IMCS(屋内基地局)などでカバーしていく考えだ。
ブースでは、建物が密集した都市部に携帯電話を使う人が大勢いる状態をシミュレートしており、LTEと5Gの性能差を比較している(通信の実証実験をしているわけではなく、ドコモがイメージする5Gの世界を伝えるデモとなっている)。シミュレーションでは、4K動画をスムーズにストリーミング再生できる様子も紹介している。ドコモが想定している5Gサービスの開始時期は2020年。「東京オリンピック開催までに提供できれば」と説明員は話していた。
ドコモの次世代移動通信5Gは、「CEATEC AWARD 2013」の中で、高い付加価値のある通信/放送の製品、技術、サービスに対して贈られる「総務大臣賞」を受賞した。アーキテクチャの独創性や通信トラフィックの増加に対するソリューション性の高さなどが評価された。
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