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SIMロックフリースマホメーカーに聞く:

「FeliCaはクラウドとの連携が必須」「キャリア市場にも進出する」――Huawei呉波氏に聞く、2018年の展望 (3/3)

日本のSIMロックフリー市場でトップを走るHuawei。2017年12月には「Mate 10 Pro」と「Mate 10 lite」を発売した。Huawei自身は2017年をどう総括し、2018年はどんな戦略で臨んでいくのか?

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au VoLTEに対応する予定はある おサイフは?

Huawei

―― 現状、Mate 10 Proではau VoLTEが使えません。せっかくのDSDV(デュアルSIM、デュアルVoLTE)に対応するのが、Y!mobileだけだとちょっともったいないなという印象がありましたが、いかがでしょうか。

呉氏 (対応する)予定はあります。ただ、実際の問題として、通信事業者のラボは、数が限られていて、予約の順番を待たなければなりません。今はその順番を待っている状態で、試験を無事にパスできれば、すぐにバージョンアップを実施する予定です。ただ、申し訳ないのですが、いつまでに、どのタイミングでということは、お話できません。

―― VOCのお話を先ほどからしていますが、もう1つ大きな声として、おサイフケータイへの対応を望む声があると思います。年始に対応を表明してから、現状まで、まだ対応機種が出ていませんが、進捗(しんちょく)状況はいかがでしょうか。

呉氏 おサイフケータイの機能を持たせるためには、まずFeliCaを搭載しなければなりません。ただ、(Huaweiの目指す機能は)Suicaだけでなく、銀行カードの代わりになるものです。そのためには、(Huawei Payに使われている)クラウドサービスが必要になります。FeliCaとクラウドサービスは、どちらか1つが欠けたら実現ができません。

 順番として、まずはクラウドサービスの構築を手掛けたいと思っています。もちろん、大原則として、そこで収集したデータは日本国内にとどまるようにします。ステップ2として、ハードウェアにおいてFeliCaに対応させる。その上で、3つ目がおサイフケータイになります。この順番で計画通り進めているので、ぜひご期待ください。

MVNOのオンラインでSIMフリースマホを買う人が増えている

―― 2017年を振り返ると、MVNOがHuawei端末をさらに重視するようになった印象を受けます。発表会でも、取り扱いMVNOの紹介に時間を割いていますが、実際、比率は上がっているのでしょうか。

呉氏 日本のSIMフリースマートフォンは、オフラインの売り場で一番ものが出ているといわれていますが、実際のところ、かなりの数がMVNOのオンラインの販路で販売されています。ご指摘のように、2017年の大きな特徴として、オフラインで売れたスマートフォンの数が、オンラインで売れたスマートフォンの数より少ないということがあります。ショッピング全体で見ると、オンラインは全体の20数%しかありませんから、SIMフリースマートフォンはかなりの比率ということになります。

 これは今年(2017年)になって初めて気づいたことですが、日本の消費者は、従来の販路以外のところで、スマートフォンを選び、買っています。1社のMVNOが販売したスマートフォンの数が、1つの家電量販店より多いということもありました。これまでの常識を大きく覆す現象が起き、1つのトレンドになっています。

―― 最後に、2018年の目標を教えてください。

呉氏 これまでと同じですが、2018年に関しても、目標はスマートフォン市場で生き残りたいと願っています。また、2018年は、スマートフォン市場の各方面に関わり、コミットができるようになっていきたい。これはすなわち、これまでのMVNO、SIMフリー、家電量販店に限らず、キャリア市場にも入り込んでいきたいということです。

 2017年は弊社にとって「SIMフリー市場元年」ともいえるほど、業績が大きく飛躍した1年でした。2018年に関しては、(SIMフリーだけでなく)日本のスマートフォン市場に全体おいて、マイルストーンになる1年にしたいと思っています。そのため、製品ラインアップは絞って事業展開をしていきます。

―― 絞るというと、キャリア市場に注力した結果、SIMフリーの端末が手薄になるようにも聞こえます。キャリアに出したフラグシップが、SIMフリーで出なくなるという危惧もありますが、いかがでしょうか。

呉氏 中国には、このようなことわざがあります。「ゴマを拾ったからといって、今持っているスイカを捨てるわけにはいかない」――これは、既に持っているものを諦めてまで、新しいものを手に入れようと思ってはいけないという戒めです。SIMフリー市場では、消費者と良好なコミュニケーションを取れるようになってきました。これまで築き上げたものは、大きなベースなので、それを壊すようなことはしません。

 ですから、おっしゃっているような危惧は、決してありえないことです。Huaweiのスマートフォンは、ローエンドからハイエンドまで、品ぞろえは非常に豊富です。それぞれのマーケットに提供するための製品は持っているので、安心してください。この業界は変化が激しく、競争はし烈です。四半期の業績がよかったからといって、次も続くとは限りません。その中で何とか生き残っていきたい。そのために、今後も消費者ニーズを第一に考え、事業を展開していきます。

取材を終えて:全方位でユーザーの期待に応えられるラインアップに

 フラグシップモデルでメーカーとしての力を見せつつ、liteシリーズで実を取るというのが、今のHuaweiの戦略だ。nova、P、Mateのそれぞれにliteをそろえた2017年は、それが完成した1年だったと総括できそうだ。

 呉氏が語っていたように、2万円、3万円、4万円にそれぞれ1機種ずつliteモデルが割り振られており、全方位でユーザーの期待に応えられるラインアップになっている。もちろん、liteシリーズを売るにはフラグシップモデルにも魅力が必要だ。その点、P10、P10 Plus、Mate 10 Proはユーザーからの評価も高く、Huaweiにとっての“追い風”になっている。

 おサイフケータイについては、Huawei Payとの統合を検討しているようだ。単にFeliCaを使った非接触決済を提供するだけでなく、Huaweiのサービスとして、ウォレット機能を提供しようとしている意思が読み取れる。

 おサイフケータイは、どの機種を使っても同じ体験しかできなかったが、Huaweiの試みが成功すれば、決済機能でも頭1つ抜けた存在になるかもしれない。FeliCaへの対応表明から間もなく1年がたとうとしているが、開発期間を考えると、2018年内の対応に期待したいところだ。

 同時に、Huaweiはキャリア市場への進出も計画しているという。Wi-Fiルーターでキャリアとの関係も強く、実績も残しているだけに、実現できる可能性は高い。SIMフリースマートフォン市場で着実に評価を高めている今は、絶好のタイミングといえるだろう。ユーザーには選択肢が増えるメリットがある一方で、キャリアに端末を納入している他のメーカーにとっては、脅威といえる存在になりそうだ。

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