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EUの新ドメイン管理組織設立案に米議員が反発

» 2005年10月07日 18時59分 公開
[IDG Japan]
IDG

 新たなインターネット管理組織をつくろうという欧州連合(EU)の提案を受け、米国議員の超党派のグループが異議を唱えている。

 米下院エネルギー商業委員会の4人の幹部議員は10月6日、米国務省および米商務省の国家電気通信情報管理局(NTIA)にあてて、現行のインターネット管理体制を維持するよう促す書簡を送った。

 ドメイン名の選定作業を今後も米国の権限下に置き、非営利法人のICANNがIPアドレス割り当ての責任を担い続けるべきだとしている。

 「世界経済にとってのインターネットの重要性を考えると、インターネットの基盤をなすドメイン名システムの安定と安全性は必須だ」と書簡にはある。「従って、米国はドメイン名システムの効果的かつ効率的な運営にマイナスとなりそうな行動を取るべきではない。ついては、米国は権威あるルートゾーンファイルへの変更・修正の認可者という歴史的な役割を維持するべきだ」

 EUは9月、新たな国際インターネット管理組織の設立を呼び掛けて米国と袂を分かった。IP番号ブロック割り当てに新モデルを導入するよう求めたEU提案が通れば、ICANNの権威は大きく失墜する可能性がある。EUはまた、インターネット政策関連問題についての新たな討議の場を設けようと呼び掛けている。

 EUのビビアン・レディング情報社会担当委員の広報官であるマーティン・セルマイヤ氏は9月、「インターネットはグローバルなインフラ」であるため、新たな国際協力モデルが必要とされていると説明した。

 4人の下院議員からの書簡は、EUの提案に直接は触れていない。だがインターネットの管理体制が変わるべきではないと主張している。書簡に署名したのは、エネルギー商業委員会議長のジョー・バートン議員(テキサス州選出・共和党)、同委員会幹部のジョン・ディンゲル議員(ミシガン州選出・民主党)、同委員会インターネット小委員会議長のフレッド・アップトン議員(ミシガン州選出・共和党)、インターネット小委員会幹部のエドワード・マーキー議員(マサチューセッツ州選出・民主党)の4人。

 米業界団体のInformation Technology Association of America(ITAA)も6日、EUの提案に反対すると表明した。ITAAのハリス・ミラー会長は発表資料の中で、EUの提案は「反ビジネスの姿勢」を取っていると指摘している。

 「政府の介入は革新的で強固なインターネットの本質をむしばむ」とミラー氏。「このプロセスを国家政府間の政治のフットボールゲームにしてしまうというのは、とんでもないプレーコールだ。民間企業からは、まずポイントは稼げまい。インターネットの急速かつ広範な普及は、現行の管理体制のおかげなのだ」

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