　フジテレビジョンは、テレビ番組を有料でオンデマンド配信する「フジテレビ On Demand」のサービスを4月から強化する。従来は、ISPなどを介して配信していたが、4月1日からは自社サイトからも配信し、ユーザー拡大につなげる。7日には、動画を楽しめる携帯電話向けサイト（NTTドコモ専用）も開設する。

　フジテレビ On Demandは、「あいのり」「アイドリング！！！」など同社のテレビ番組をオンデマンド配信するサービス。Yahoo！BBやBIGLOBEといったISP、OCN Theaterなどテレビ向け映像配信サービスを通じて提供しており、約30タイトル・200本の作品を視聴できる。料金はコンテンツによって異なるが、1話105円など。無料のコンテンツもある。

　2005年にスタートした。「収入は微増ながらも右肩上がりに推移し、映像配信の権利処理に関するノウハウも蓄積できた」と同社デジタルビジネス推進部の塚本幹夫部長は話す。その一方で、コンテンツをタイムリーに投入できない、同社Webサイトのユーザーをうまく取り込めない――など、ISPを通じた配信の課題も見えてきたという。

　自社配信は、フジテレビのコンテンツサービス専用ID「フジテレビID」（登録は無料）でログインすれば利用できるようにする。60万人いるというフジテレビIDの会員のユーザーベースを活用し、番組販売を拡大したい考えだ。

　自社配信では無料コンテンツを拡充し、テレビ番組との連動を強化。生野陽子アナウンサーが出演する番組「ショーパン」（毎週月～木）の番外編「ショーパンFriday」（無料）などオリジナル作品も同サービスで公開し、集客につなげる。

　携帯サイトも開設する。NTTドコモ専用で、1時間以上のドラマなど長尺の作品も視聴できる。料金は月額315～1050円。料金に応じたポイントがもらえ、ポイントでコンテンツを購入する。KDDI（au）とソフトバンクモバイル向けのサイトは6月に開設する予定で、それまでは無料動画のみ視聴できるプレサイトを提供する。

　「YouTubeのような違法動画投稿サイトが幅をきかせている中、国内のテレビ局もビデオオンデマンドサービスへの取り組みを始めている。自社配信することで、直接視聴者に向き合っていきたい」と塚本部長は話した。