Google、宇宙AIデータセンター構想「Project Suncatcher」初の試作衛星をFalcon 9で打ち上げへ

 米Googleは9月24日(現地時間)、衛星軌道上にAIデータセンターを構築する構想「Project Suncatcher」で、初めての軌道上試験を実施すると発表した。TPU(Tensor Processing Unit)を搭載した試作衛星を、来週予定されている米SpaceXのライドシェアミッション「Transporter-18」により、カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から「Falcon 9」ロケットで打ち上げる計画だ。

(画像:Google)

 Project Suncatcherは、Googleが昨年11月に発表した長期的な研究プロジェクトだ。低軌道の衛星はほぼ常に太陽光を受けられるため、地上に比べて最大8倍の太陽光発電ができる。この点に着目し、将来的にTPUを搭載した衛星群を連携させて、軌道上で大規模なAI処理ができるかを探っている。

 今回の試作衛星は、衛星画像企業の米Planet Labsと共同で開発した。データセンターそのものではなく、AI用のハードウェアが宇宙で動作できるかという基本的な問いを検証するための衛星だ。打ち上げ時の物理的な負荷や、宇宙の放射線、極端な温度環境にTPUがどう耐えるかについて、軌道上でデータを集める。

 Googleによると、低軌道に到達するまでのロケットの飛行時間は約10分。その間、機体には激しい振動とともに最大10G(重力加速度の10倍)の加速度がかかり、TPUチップなどの個々の部品には50~100Gがかかることもある。事前に実施したロケット打ち上げ時の振動周波数を再現する試験では、ハードウェアは振動に耐えたという。

振動試験装置に取り付けられた試作衛星(画像:Googleの動画より)

 冷却も大きな課題だ。TPUは狭い面積から大量の熱を出すが、真空の宇宙には空気の流れがなく、熱はラジエータから放射するしかない。Googleはヒートパイプとラジエータを組み合わせる方法などを開発しており、これまでは宇宙の熱や真空環境を再現する熱真空チャンバーで試験してきた。今回の打ち上げで、新しい冷却システムが実際の宇宙で機能するかを確認する。

宇宙の熱・真空環境を再現するチャンバーでの試験の様子(画像:Googleの動画より)

 将来の衛星は1機に数十個のTPUを搭載し、複数の衛星が近接してクラスタを組みながら地球を周回する構想だ。AI処理に必要な帯域幅を確保するため、衛星同士はレーザーで通信する。Googleは2027年に2機の衛星を軌道に投入し、この技術を検証する計画だ。

 GoogleとAlphabetのスンダー・ピチャイCEOはLinkedInへの投稿で、打ち上げ時の激しい振動や加速度、放射線被ばく、真空中でのチップ冷却などを挙げて「うまくいかない可能性のあることはたくさんある」と述べた。その上で今回の試験を、Waymoの最初の車両がマウンテンビューの駐車場を出発したときや、初期の量子チップが絶対零度近くまで冷却されるのを見たときになぞらえた。

 Googleは、チームが乗り越えてきた科学・工学上の課題を解説する4回シリーズの動画もYouTubeで公開した。動画では、将来のシステムについて、太陽電池パネルがほぼ24時間太陽光を受けられる「ドーン・ダスク軌道」(明け方と夕方の境界線上を周回する軌道)が最適だと説明している。

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