「携帯事業が構造的に利益を生む転換点だ」 ソフトバンク「来期は800億円増益」の根拠とは
「経済情勢が厳しい中、携帯電話事業を開始しておいてよかったとつくづく感じている。事業は非常に順調に推移している」──ソフトバンクが2月5日発表した2008年4~12月期の連結決算は、前年同期比5.6%増の2746億円となり、同期としては過去最高だった。来期に営業増益する見通しも明らかにし、「携帯事業で構造的に増益となる転換点を迎えた」としてその根拠を説明した。
売上高は3.7%減の1兆9822億円。携帯電話端末販売が減少した。営業利益では、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBBのコスト削減とヤフーが貢献。前年同期に中国Alibaba.comの上場益(572億円)を計上した反動減で、経常利益は24.8%減の1744億円、純利益は37.6%減の581億円だった。
移動体通信事業の売上高は5.7%減の1兆1508億円、営業利益は8.8%減の1349億円。端末販売の減少で減収減益となったが、ソフトバンクモバイルの連結営業利益は1468億円となり、前年同期から7.6%増益だとしている。
決算に合わせ、前回決算で6年ぶりに公表した業績予想を修正。09年3月期通期の営業益見通しは3400億円で据え置くが、フリーキャッシュフロー(FCF)見通しを従来の1400億円から100億円増の1500億円とした。
業績予想の修正は損益計算書(PL)に基づく売上高と利益についてが一般的で、CFの修正を開示するのは異例だ。意図についてアナリストに問われた孫正義社長は「営業CFが改善し、設備投資(CAPEX)も少なく済みそうで、FCFが改善する自信があるので実態に即して修正した。奇をてらったわけではない」と話した。
10年3月期の業績予想も明らかにし、営業益は今期見通し比で800億円増(約24%増)の4200億円、FCFは1000億円増の2500億円とした。
営業益の増加分は、携帯事業で通信収益が+600億円・コスト削減で+400億円、携帯事業以外で+200億円の合計1200億円から、バッファとして400億円を差し引いた額だという。「経営者として言い訳抜きで実現したい」とコミットするのが800億円の増加だとしている。
「長期的に利益を生み出す構造ができた」
携帯事業で通信収益がプラス600億円──同業のNTTドコモとKDDIの通信収益が減少傾向にある中、強気のプラス予想を立てる根拠について、孫社長は「携帯事業が構造的に増益となる転換点を迎えた」からだと説明する。
孫社長によると、通信収益を押し上げる要因は(1)契約数の増加、(2)「月月割」の満期到来ユーザーの増加、(3)端末平均利用期間の長期化、(4)データARPUの増加──だ。
プリペイドを除く契約数は、買収時から550万件増の1910万(1月末)に増えた。これにプラスして効いてくるのが、機種に応じた一定額を通信料から毎月割り引く「月月割」(昨年11月に「新スーパーボーナス特別割引」から名称変更)が24カ月の満期を迎えたユーザーだ。これまで料金から割り引いていた分が、そのまま収益に加わってくるためだ。
ソフトバンクモバイルは業界に先駆けて割賦販売を導入したため、昨年後半には満期ユーザーが出始めた。満期後に解約が相次ぐという観測もあったが、08年10~12月の3G解約率は0.69%と過去最低水準に改善。「解約率が跳ね上がるということはなかった」(孫社長)
端末の利用期間も長期化している。「初めて開示した」という平均利用期間データによると、2007年度には28カ月だった利用期間が、08年4~12月には39カ月にまで伸びた。月月割満期後の利用期間が長くなればなるほど、収益にはプラスになる。
端末利用期間は今後も平均3年程度で推移していくと見ており、他社も同様に長期化すると予測する。孫社長「世界で初めて割賦を導入したが、できることならビジネスモデル特許を取って他社からお金を取りたいところだった(笑)。経営内容が改善していくビジネスモデルだからだ」と話し、ドコモとKDDIも「経営の実態は良くなっていくだろう」という。
このほか、機能的に十分かつ安価な端末へのユーザーのシフトで、端末調達コストと契約獲得コストの削減を見込む。また不正利用の防止を徹底し、貸倒引当金など関連費用の削減も図っていく。これらのコストカット分も増益の大きな要因として計算している。
孫社長は「バクチを打ってばかりの会社だと批判されることもあったが、営業利益、CFとも自信をもってコミットさせていただきたい。一時的に増やすような小手先のものは一切含まず、5年から10年後をにらんだ、長期的に利益を生み出す構造ができたということだ」と自信を見せていた。
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