iPadで触れる“HTML5のタンポポ” 慶應SFCの「安住なき先駆」、ORF 2010で確認せよ

慶應SFCの研究発表イベント「ORF 2010」のテーマは、「安住なき先駆」。常に最先端を走り続けてきたSFCの今を、展示やセッションを通じて体感できる。

» 2010年11月15日 10時00分 公開
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 ITから社会、地域、環境など各分野の最先端に触れられる、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の研究発表イベント「慶應義塾大学 SFC Open Research Forum 2010(ORF 2010)」(SFC研究所主催)が、11月22日(月)、23日(火・祝)に六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)で開かれる。

画像 公式サイトはHTML5で構築

 SFC20周年となる今年のテーマは「安住なき先駆」。寝る間もなく研究に没頭し、ひたすら前に進み続ける――慶應の塾祖・福沢諭吉から受け継がれ、SFCに連綿と続いているDNAを表現した。

 「レゴを使った可逆計算」「拡張現実を使って食感を拡張する作品」「シャボン幕や霧を使ったディスプレイ」など、142のブースにはユニークな展示が。来場者の反響がWebに広がり、Webの反響が会場に戻ってくる仕組みも築いた。公式サイトはFlashからHTML5に変え、iPadで閲覧できるようになっている。

 セッションは今年も豪華だ。楽天・三木谷浩史社長が語る社内英語公用語化の成果と課題や、攻殻機動隊シリーズなどで知られる脚本家の櫻井圭記さんなどによる恋愛についての議論、鳩山由紀夫前首相と学生との討論など、ほかでは見られない顔ぶれが熱弁を振るう。

 今年のORFに込めた思いや見所を、実行委員長の小川克彦 環境情報学部教授と、加藤文俊 環境情報学部教授、一ノ瀬友博 環境情報学部准教授、筧康明 環境情報学部専任講師に聞いた。

SFCはタンポポの綿毛のように

 安住なき先駆。このテーマには、福沢諭吉の精神が込められている。「福沢諭吉が風邪をひき、寝ようとしたところ、枕が見つからなかった。普段はひたすら本を読み、そのまま机で寝ていたから」――加藤氏は、「福翁自伝」のこんなエピソードを披露する。

 SFCは諭吉の精神を最も受け継いでいるという。「ひたすら研究し、倒れても起きあがって続けるという研究室もある。それを推奨しているわけではないが(笑)、先駆者は休みがない。そういう作業の上で、初めて先駆者たりえると考えた」(加藤氏)


画像 一ノ瀬氏

 公式サイトに描いたタンポポの綿毛は、先駆者たるSFCを表現している。「タンポポは、何もないところに入って花を咲かせ、綿毛を作り、新天地に飛ぶ先駆植物。咲いた地が森になると住めなくなり、新天地に飛んでいく。SFC的だ」(一ノ瀬氏)

 公式サイトでは、綿毛の1本1本がそれぞれの研究室を表現。ズームアップすると、研究に関連するテキストや動画、画像などが見られ、内容を深く知れるようになっている。各研究室のTwitterとも連携。Twitterが更新されると綿毛がふわりと飛んでいく仕掛けも用意した。

 「Webを取り巻く環境が変わっている」(筧氏)――これまでFlashで構築していたWebサイトは、HTML5に刷新。iPhoneやiPadでも閲覧できるようにした。会場にもiPadを置き、ORFの各研究発表内容をアプリ化してインストール。展示・研究内容を知ったり、Twitterなどを通じてコミュニケーションできる。

安住=and you 書籍から電子書籍へ、「あっと驚く仕掛けも」

画像 加藤氏

 「and you」(アンジュー)というスペースも用意した。“安住”とかけた名前で、「オヤジギャグです」と加藤氏は笑う。トークセッションやアプリコンテストの表彰式を行うほか、SFCの教授陣の書籍やiPadを配置。紙の本から電子書籍へ――という流れを体感しながら、研究内容に触れられる。

 建築設計を研究する池田靖史研究室が設計した特別な仕掛けもある。「安住もできるが、いざとなったら次の場所に出かけられる、あっと驚く仕掛け」(加藤氏)という。


会場からWebに広がり、Webから会場に戻ってくる

 各展示も興味深い。レゴブロックを使い、「可逆計算」という新しい計算概念をモデル化する「量子コンピュータのためのLEGO可逆計算機」、遠隔地のロボットを、自分の体があたかも移入したかのような感覚でコントロールする「ネットワークロボットを介した新しいコミュニケーションの提案」、シャボン幕や霧、雨や太陽光などを使ったディスプレイシステム、拡張現実を使って食材の食感を変える「食感を拡張するインタラクティブメディア」――など、ユニークで先端的な研究展示が並ぶ。

画像 筧氏

 「秩序と混沌の間に何かがある。それがSFCのクリエイティビティの源泉だ。展示は、通信やユビキタス、社会イノベーション、身体知などさまざまなジャンルで、“生煮え”なものがいっぱい出てくるが、それがいいところ。いろんな発想が想起される場であってほしい」と小川氏は願う。

 リアルとWebをつなぐ仕組みも。各展示会場にはふせんを置き、来場者が気になったことや質問を書き込んで貼っておける。ふせんは撮影してWebにも公開。Webで見てコメントを付けられる。付いたコメントは、会場にも投影する予定だ。

 「Webから会場の盛り上がりが分かり、会場に来た人は後からWebでも楽しめる。感想が気軽に集まり、ORF終了後も楽しめる仕組みを作りたかった」と筧氏は狙いを語る。

「三木谷社長が語るバイリンガル化の成果と課題」から、「恋愛のアーキテクチャ」まで セッションは質量とも拡大

 セッションは例年より増え、30近くある。地方自治から企業の国際化戦略、恋愛まで、バリエーションは多彩で、顔ぶれも豪華だ。

 神奈川県藤沢市長の海老根靖典氏や、岩手県遠野市長の本田敏秋氏などを招いて議論する「全国自治体ICTサミット」、鳩山由紀夫前首相を招き、公募選抜したSFC生2人を含めて議論する「『新しい公共』と日本の社会ビジョン」――など、地方自治や公共を考えるセッションは、ORFならでの豪華な顔ぶれだ。

画像 小川氏

 SFCが、入試から授業のすべてが英語のみで行われる学部(GIGAプログラム)を来年の秋にスタートさせることから、楽天の三木谷社長を招き、英語公用語化の成果や課題を議論する「グローバル社会の人材育成」というセッションを用意した。

 攻殻機動隊シリーズなどで知られる脚本家の櫻井圭記さんと、社会学者の濱野智史さんなどが、若者たちの恋愛をリアルとネットのアーキテクチャから解き明かす「恋愛のアーキテクチャ」、JR東日本で働く女性など、女性ばかりを集め、公共空間を快適にする方法を考える「交通運輸情報プロジェクト」など、ビジネスや創作の現場から、多彩な顔ぶれを招いたユニークな講演が企画されている。

 SFC20周年を記念し、大学の未来像について考えるセッションや、高校生向けの内容も。慶應義塾評議員の北城恪太郎氏(日本アイ・ビー・エム最高顧問)などを招き、SFCの行方とこれからの教育を考えるセッション、高校生からのSFCへの疑問にSFC教員が答える「高校生のためのSFC講座」などだ。

 今年のORFは、ビジネスパーソンや研究者、大学生だけでなく、SFC受験を考える高校生も歓迎。会場で体験し、Webでその後の広がりをチェックする――そんな楽しみ方もできそうだ。

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提供:慶應義塾大学SFC研究所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2010年11月28日