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Facebookプラットフォームをどう活用するか――“マジレス”投稿サイト「ANKER」の狙い(2/2 ページ)

» 2011年09月16日 08時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
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 ANKERは7月28日のオープンβ版リリースから正式公開までの約1カ月間、プロモーションを一切せず、ライブドアスタッフと自社媒体からの情報拡散だけで1200人のユーザーを獲得したという。正式リリース後も広告などのプロモーションは行っていないが、9月6日時点でユーザー数は2800人まで増加した。

photo 萩原さん

 「ここまで広がるとは」と話すのは、エンジニアの萩原豪さん。ユーザー獲得の秘けつは、ページの特徴を示す情報をメタタグとしてHTML内に埋め込む技術「OGP」(Open Graph Protocol)を用いた、ソーシャルプラットフォーム上での「シェア」活性化にあるという。

 ANKERでは、各トピックに「いいね!」ボタンを押したユーザーのFacebook上に、トピックの趣旨が「一目で分かる」文章と画像がフィードされるようになっている。それを見たユーザーの友人にトピック内容への興味を喚起させ、ANKERの利用を促す――という狙いだ。

 「ユーザーが投稿者とFacebook上でつながっていなくても、ANKER上で投稿に『いいね!』できるので、投稿者の友達じゃない人の友達にも情報が広がっていく」(萩原さん)のも特徴だ。ANKERのアクセス数は現在1日当たり1万PV程度だが、読者の「いいね!」によってFacebookのニュースフィード上でANKERのコンテンツが表示される回数は、その10倍を超えているという。

 また、トピックの乱立防止にも「いいね!」ボタンを活用している。ANKERでは、ユーザーが新しくトピックを立ててもそのままでは「トピックリスト」に載らないようになっている。まずはFacebookやTwitter上で自分の立ち上げたトピックの概要をシェアし、友人などから一定数以上の「いいね!」を獲得することで、初めてANKERのリストに新規トピックとして掲載される仕組みだ。

 「トピックを作る際、まずは自分で“お墨付き”をもらってこないとリストに載らない。不正な投稿を消すことなどに運営側のリソースを割くことが分かっている新サービスの開発はしたくなかったので、それも『いいね!』ボタンを活用すれば従来よりは省力化できるのではという狙いで運営している」(森内さん)

自社内外のプラットフォームを盛り上げていく

 ANKERは当面、収益化の予定はない。ライブドアとしてはANKERの開発・運営によって得られたソーシャルプラットフォーム活用の知見を、他のサービスの開発や強化に生かしていく考えだ。

 ANKERの目標は、ユーザー数を「自然に増やしていく」こと。今後も大々的なプロモーションは行わず、ソーシャルメディア上でのシェアや、Facebookプラットフォームに特化した広告(Facebook広告)などを通じてユーザー数を増やしていく考えだ。「ユーザー数が増えれば自然とトピックの内容も細かくなっていき、ユーザーの興味も絞られて『いいね!』の感度も高まっていくだろう」と森内さんは期待を寄せる。

 そのために「まずはFacebook自体のユーザー数が増えてほしい」と萩原さん。萩原さんは、国内のFacebookユーザーが増えるためには「日本語で利用できる魅力的なFacebookアプリ」が必要だと考え、英文で書かれたFacebookの開発者向けドキュメントを日本語に訳し、国内のエンジニアに向けて自身のブログで公開している。「国産のFacebookアプリが増えることで、Facebookのユーザーも増えるという流れができてほしい」(萩原さん)

 また今後、ANKERの運営によって得られたPV数、「いいね!」ボタンが押された数、シェアの広がり方といったデータも、ニーズがあれば積極的に公開していきたいという。「われわれのスタンスとしては、開発者向けドキュメントの和訳や検証したデータなどを公開することで、(日本のFacebookアプリ開発者の)役に立つことをしていきたいと考えている」(森内さん)

 ライブドアは6月23日にロケタッチのAPIを公開し、同サービスのプラットフォーム化を進めている。自社製のプラットフォームとFacebookなど外部のプラットフォームの活用で得られた知見を組み合わせていくことで、「ソーシャルプラットフォームとの共存」路線を推進していく考えだ。

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