「AmazonやGoogleに負けられない」──KDDI、2017年にドローン事業化へ ゼンリンらと提携
KDDIは12月19日、モバイル通信ネットワークを活用したドローン運用基盤「スマートドローンプラットフォーム」を開発し、2017年内の実用化を目指すと発表した。産業用ドローンを手掛けるプロドローン(愛知県名古屋市)と地図制作で国内最大手のゼンリンと業務提携し、設備検査や農業支援、災害救助といったドローン活用サービスを開発する。
スマートドローンプラットフォームは、商用ドローンの運用に必要な「ドローン機体」「3次元地図」「運航管理」「クラウド」を内包するプラットフォーム。KDDIはモバイル通信ネットワークや通信モジュール、プロドローンは機体、ゼンリンが3次元地図をそれぞれ担当する。
従来型ドローンの多くは、限られたエリア内で、人がその場に立ち会って操縦する必要があった。モバイル通信ネットワークを利用すれば、遠隔地からドローンをコントロールしたり、映像を伝送したりでき、利用シーンを拡大できる可能性がある。
総務省による今年7月の省令改正で、携帯電話事業者は免許申請の範囲内で、上空でもモバイル通信ネットワークを利用できるようになった。競合するドコモやソフトバンクもドローン事業の実証実験を今秋から進めている。KDDIは他事業社との連携を通じ、個人・法人向けでいち早くサービスを始めたい考えだ。
KDDIの山本泰英本部長(執行役員常務 商品・CS統括本部)は、商用ドローンの開発には今回の提携が必要不可欠だったと話す。「ドローンの商用化には、建物や飛行禁止エリアを認識してルートを選択する3次元地図や、運航管理、高度なドローン機体、そして取得したデータを統合、分析し、さまざまな価値を提供するクラウドの機能が必要となる。われわれはインフラ構築にも着手していく」。
世界で唯一、作業用アームを取り付けた大型ドローンの実用化に成功している(同社調べ)というプロドローンの河野雅一社長は、2020年に商業ドローンの需要が拡大していくことを見越して今回の提携に踏み切ったという。
「現場で直接作業できるドローンを生み出したことで、『市場が広がった』と評価いただいている。ドローンを活用するには、地上との通信技術、管制技術などが必要不可欠。AmazonやGoogleが持てるリソースを投入して市場の覇権を取りに行っている。日本も負けていられない。世界に打って出て得た知見をKDDIスマートドローンにフィードバックすることで、日本のドローン産業を盛り上げていきたい」(プロドローン河野社長)
ゼンリンは、ドローンが建物や飛行禁止エリアを認識し、最適な飛行ルートを選択するのに必要な3次元地図データを提供する。同社の藤沢秀幸さん(上席執行役員 第二事業本部本部長)は「地図はロボットが読む3次元化の時代になった」と話す。
「当社は3次元地図をクルマの自動運転用地図として手掛けてきた。先読み情報や経路設定、自己位置特定、誘導・制御など、今まで人間が行っていた『認知・判断・操作』を機械が行うために3次元地図が必要となる。次はこれを空に持っていく」(ゼンリン藤沢本部長)
ドローンを飛行させる上で、3次元の地図データは非常に重要だという。現在は都市部の多くでドローンの飛行が禁止されているが、規制緩和が進めば、例えばドローンを飛行させる上で万一落下した際に被害が少なくなるよう川沿いを飛行させる――など、さまざまな活用が考えられる。「より多くの人が安心安全にドローンと暮らせる時代に向けて、まずは地図から着手したい」(ゼンリン藤沢本部長)。
東京・渋谷の発表会会場では、KDDIのLTEネットワークを利用し、名古屋に設置されたドローンを遠隔コントロールするデモが行われた。機体のコントロールから、搭載するロボットアームの操作、カメラの映像伝送を全て1つのLTEネットワークで行った。操作に遅延は感じられたが、実際にアームを使って荷物を運ぶことに成功している。
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