視線と声で操る「第三の腕」、早大とパナソニックが共同開発へ
雨が降り出したのに荷物を抱えていて傘が差せない、両手でハンバーグをこねているときに鍋が噴きこぼれそうになった……日常生活の中で「もう1本、手があれば」と思うシーンは意外と多い。早稲田大学 岩田研究室が開発した「第三の腕」は、そんなときに便利なロボットアームだ。
人の腕と同様に肩や肘、手首といった関節を持ち、「グリッパ」と呼ばれる3本指で器用に調味料やドライバーをつかむ。ロボティクスを活用して人の身体能力を引き上げる“身体拡張”を目指して開発した。
グリッパの中には粉粒体が入っており、モノに触れると柔軟に形を変える。つかんだところで中の空気を抜くと、グリッパの形状が固定され、柔らかいものでも余計な力を加えずにつかめる仕組みだ。
ロボットアームの操作は視線と声で行う。例えば調味料をとってほしい場合、操縦者が調味料を見ると、「アイグラス型インタフェース」のジャイロセンサーと赤外線センサーが顔の向きと対象物までの距離を測定して調味料を特定、「とって」と声で指示するとロボットアームが動く。操縦者が対象物を視線で狙いやすくするため、アイグラスにはレーザーポインターも備えている。「身体拡張技術で重要なのは、直感的に指示して“意のままに操れる”こと」と岩田教授は話す。
腕の形は必ずしも現在の形である必要はない。「ロボットアームが人の体に付いている必要もない。形は自由で、(テーブルや壁など)環境にあってもいい。例えば『ワンピース』のルフィのように延びる腕もあり得るだろう。人体拡張は既存の人体イメージからの解放をもたらす可能性がある」(岩田教授)
岩田研究室は、1月25日にパナソニックが発表したロボット技術の共創拠点「Robotics Hub」に参画。共同研究を進め、サービスロボットなど次世代ロボットの早期実用化を目指す。発表会場では第三の腕を使用して天井ボードをビス留めする作業に披露したが、これはロボット技術の活用に向けてパナソニック ホームズに聞き取りをした際、「とくに困っている作業の1つだった」という。
天井ボードを取り付けるには下から支えていなければならず、2人で作業すれば簡単だが、人手不足の現場ではなかなか難しい。しかし第三の腕を使って天井ボードを支えれば、1人でも作業できる。パナソニックでは「実用化のスケジュールは未定だが、うまく現場に導入したい」と話していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
陸自が「イオンモール熊本」内部をドローン撮影 防衛省が映像公開
-
2
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
3
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
4
PayPayアプリで熊本地震への寄付が可能に 最短3ステップ・1円から
-
5
イオンモール熊本内部の撮影、国産ドローンが活躍 日本企業2社が自衛隊などと協力
-
6
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
7
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
8
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
9
“ダサい”不評の「ドコモの銀行」、従来のアプリアイコン選択可能に 「ご意見・ご要望も踏まえ」
-
10
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR