日本音楽著作権協会(JASRAC)は12月21日、2018年1日1日から予定していた音楽教室からの著作物使用料徴収を一時保留にすると発表した。
JASRACは2月、「ヤマハ音楽教室」など対象となる大手楽器教室運営事業者に対し、18年1月から著作権料を徴収する方針を発表。これに対し、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などが結成した「音楽教育を守る会」が反対していた。
音楽教育を守る会は12月21日、徴収の保留を求めて文化庁に裁定を申請。申請が認められ裁定手続きが始まり、使用料規程実施が保留となった。著作権等管理事業法により、裁定が下るまでJASRACは使用料規程「音楽教室における演奏等」に基づく使用料の徴収ができない。
JASRACは「今後、文化庁長官が行う裁定手続において、あらためてJASRACの考え方を明らかにするなどして、速やかな使用料規程の実施に向けて努力を続けいく」とコメントしている。
(太田智美)
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