「HDR時代」到来 テレビからiPhoneまで、HDRの現状を分かりやすく解説(3/3 ページ)

» 2017年08月22日 10時00分 公開
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より美しく、よりリアルに――高画質化に必要な5つの要素

 このようにリアルな映像を追及する技術は日進月歩で進んでいる。一般に、映像の高画質化には、解像度、ビット深度、フレームレート、色域、輝度の5つが挙げられる。この内、最初の3つはいずれもピクセル密度に関係したものであり、時代とともに徐々に進化してきた。長らく停滞していた色域についても、数年前にRec.2020という広色域が定められた。そして、残る課題であった輝度が、ここに来てHDRという形で進化を遂げようとしている。

映像を高画質化する5つの要素。そのうちの「輝度」がHDRで進化する

 前述したように、テレビやディスプレイなどハードウェア側の表示性能が引き上げられたことで、カメラが記録したデータを損なわずに表示できるようになり、リアルに迫る美しさを表現する土台が整いつつある。

 こうしたトレンドを受け、HDRコンテンツを制作するプロの制作現場に向けて現在EIZOが開発している液晶ディスプレイが、先に触れた「ColorEdge PROMINENCE CG3145」(12月発売予定)だ。

HDR世代の映像制作現場に向けた「ColorEdge PROMINENCE CG3145」

ColorEdge PROMINENCE CG3145

 ColorEdge PROMINENCE CG3145は液晶の駆動方式にIPSを採用する。一般的に液晶ディスプレイ、特にIPS方式は黒を黒く再現するのが難しく、コントラスト比も得がたい。液晶ディスプレイで手軽に高いコントラスト比を出すには、ローカルディミング技術がある。ローカルディミング技術では直下型のLEDバックライトをエリアで区分し、エリアの映像に合わせてバックライトの輝度を調整するため、輝度や色度が常に変動することになる。

 また、明暗差が大きい部分では、本来暗い部分にも光が回り込んで明部の輪郭が滲んでしまうハロー現象も生じやすくなる。こうしたデメリットは、視聴用のディスプレイならばともかく、制作現場で使われるリファレンスモニターとしては望ましくない。

高いコントラストを実現するためにバックライト輝度を細かく調整するローカルディミング技術(左がローカルディミングあり、右がなしのイメージ図)。左のローカルディミング技術採用では、明暗差が大きい部分で光がにじむハロー現象が起きやすい

 そこでEIZOは、新型のIPS液晶パネルを採用し、ローカルディミング技術を用いることなく最小輝度を0.005cd/m2以下にまで落とすことに成功。結果としてネイティブコントラスト比も100万:1にまで引き上げている。また、リファレンスモニターの中には、明るい映像を表示した際、パネル寿命を延ばすために一時的に輝度が落ちるものもあるが、ColorEdge PROMINENCE CG3145ならどのような映像でも、常に安定した輝度、色度を保った状態で作業できるのが強みだ。

 ColorEdge PROMINENCE CG3145はグレーディング作業用のリファレンスモニターを目指しているため、かなり高価になることが予想される。ただ、コンテンツ制作のワークフローにおいて、撮影や編集、コンポジット作業など、そこまでの再現性を必要とせず、大まかなアタリを付けられれば良い工程もある。こうした現場のために、EIZOには既存の4Kモニター「ColorEdge CG318-4K」および「CG248-4K」のカラーモードに配信・映画制作向けのHDRであるPQカーブ(PQ1000、PQ300)を書込んで(擬似的な)HDRに対応するアップグレードサービスも用意されている。より安価にHDRのプレビュー環境を導入できるため、これからHDRワークフローを組む制作者にお勧めしたいサービスだ。

HDRの技術詳細はEIZOのWebサイトをチェック!

 従来のSDRを超える取り組みは2012年ごろから始まり、2015年に家電ショーでHDR化した製品・試作品がデモ展示されはじめた。また、2016年はついにHDR-TVの国際標準化がITU-R BT.2100としてまとめられた。

 ただ、今は黎明期(れいめいき)ということもあり、テレビ個々の製品については、HDR10の信号入力に対応しただけのものから、ULTRA HD PREMIUMのロゴを取得したものまで様々で、押し並べて語ることはできない。

 ただ1つ言えるのは、HDRによってシャドー、ハイライトとも表現力が格段に向上し、映画からゲームまで様々な映像コンテンツがより現実の風景に近づいていくということ。映像の新しい時代を楽しみに待ちたい。

 なお、EIZOではHDRに関する技術解説ページを8/31から公開予定。より詳細な情報が知りたい方は是非参照してほしい。


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提供:EIZO株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2017年9月21日

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