ThinkPadの未来をうらなう最初の一歩――「ThinkPad X1」発表会:ThinkPad史上最薄(1/2 ページ)
デザインを重視し、ThinkPad史上で最も薄いボディを実現した「ThinkPad X1」は、“これからのThinkPad”が目指す未来を指し示している。
ThinkPad史上最薄の13.3型ワイドノート「ThinkPad X1」
既報の通り、レノボ・ジャパンはThinkPad史上、最も薄いボディを実現した13.3型ワイドノートPC「ThinkPad X1」を発表した。詳細な仕様や製品コンセプトについては以下の記事ゆずり、ここでは発表会の模様をリポートしよう。
同日行われた製品発表会では、ノートブック製品の研究・開発を担当するレノボ・ジャパン常務執行役員の横田聡一氏が、ThinkPad X1の概要と特徴を説明した。
“ThinkPad史上最薄”を掲げる同製品は、「X1」の名前から分かるように、アルファベッドと3ケタの数字で構成する従来製品の命名規則からは外れている。これはX1が従来とは異なる方向性を志向しているためだ。
横田氏は「ThinkPadとして妥協のない性能・機能はもちろん、X1はデザイン性を融合した新しいジャンルのThinkPadをめざした」と説明する。また、デザインにフォーカスした理由として、スタイリッシュなデザインで好評を博した「ThinkPad Edge」シリーズに対し、ThinkPadでも同様のモデルを提供してほしいという声が多かったこと、販売を伸ばすためには店頭で見栄えのするデザインが重要であること、ITツールのコンシューマ化により、仕事で使う道具を家でも使うといったように、よりデザイン性の高い製品が求められていることなどを挙げた。
「ThinkPad X1には、今までの製品の延長というよりも、新しい方向に進んでいきたいという意思が現れている。従来のThinkPadが持つ“質実剛健”なイメージ、機能で妥協しない部分は受け継ぎつつ、ユーザーの嗜好が変わっていることを受け止め、デザイン性や持ったときの心地よさ、そういった感性的な部分もThinkPadで打ち出していきたい。“X1”の名前に込めたのは、その最初の製品であるということだ」と述べ、ThinkPad X1が今後のThinkPadが向かうべき進化をけん引するモデルと位置付けた。
ThinkPad X1の特徴は大きく3点。まず1つは“史上最薄”を語る最薄部16.5ミリのボディだ。これはThinkPad Tシリーズで最も薄い「T420s」の液晶ディスプレイを開いた状態とほぼ同じ厚さになるという。また、本体天面にマグネシウム、液晶ディスプレイ前面にコーニング社のゴリラガラスを用い、さらにロールゲージ(本体底面、パームレスト、キーボード下)をマグネシウムの一体成形とすることで、従来以上の堅牢性を確保した。
特徴の2つ目は、よりパワフルなシステムの採用だ。一般的に薄型ノートPCでは、超低電圧版CPUを採用することが多いが、ThinkPad X1が搭載するのはSandy Bridge世代のCore i5-2520M/Core i3-2310Mで、これは通常電圧版(TDP35ワット)だ。これにより、超低電圧版Core 2 Duo SU9400を搭載するThinkPad X301に比べて、2倍から4倍の性能向上を実現した。一方、薄型ボディに通常電圧版CPUを搭載すると発熱面での心配が出てくるが、ThinkPad X1ではワンランク上の部材を使用した第5世代の“フクロウの羽のファン”を開発し、十分な排熱を可能にしたという(関連記事:ThinkPadに隠された“フクロウの羽根”の秘密)。
特徴の3つ目は、長寿命かつ高速充電が可能なバッテリーだ。これまで他社製でも60分で80%の容量を充電するモデルは存在したが、ThinkPad X1のバッテリーは30分で容量80%の充電が行えるほか、1000サイクル(標準的な使い方で3年間)の充電が可能な長寿命である点も目を引く。電動工具などで使用されている高速充電に適した電池をノートPC向けに転用し、さらに独自のファームウェアを開発して、充放電時にセルへのダメージを抑えるアルゴリズムを実装したという。
このほか、液晶ディスプレイの輝度を350カンデラ/平方メートルまで引き上げたり、Dolby Home Theaterを搭載するなど、エンターテインメント的な部分も強化された。なお、ThinkPadの“顔”ともいうべきキーボードは、ThinkPad Edgeシリーズで採用された6段配列のアイソレーションタイプで、タイピングしやすいようにキートップの形が改善されている。
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