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SIMロックフリー+3バンドLTE対応は何が便利か──「b-mobile4G WiFi3」をチェックするau iPhone 5のSIMで使えるかも試す(2/2 ページ)

“本来あり得ない理由”はさておき、日本通信のLTEルータ「b-mobile4G WiFi3」はSIMロックフリーと3バンドLTE対応、そして“そこそこ低価格”な特長に注目したい。

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進化はしているが、その他機能に今1つ物足りない印象も

 さて、連続動作時間の延長や前機種より手ごろな価格になったことで「正常進化」と言える本機だが、基本機能面では、いい意味で「必要最低限で、ほどよくシンプル」、悪い意味では「機能は他機種より少し劣る」印象だ。

photo b-mobile4G WiFi3のWeb設定ツール画面(試しにauのiPhone 5で使う2.1GHz帯「4G LTE」契約のSIMカードを入れ、動作確認したところ)。機器の初期化(ハードリセット)は、電源オン状態で「電源」+「WPS」ボタンを同時に押し→3つのLEDが緑で点滅したら指を離す──の手順で行う

 例えば、最近のポータブルルータに備わるようになった「公衆無線LANとの接続(1つの公衆無線LANサービスをルータ経由で共有できる機能」には対応せず、クレードルと連携した固定回線(光ファイバーなど)との接続なども行えない。また、省電力動作/簡易スリープモードとして、一定時間Wi-Fi機器よりアクセスがない場合にWi-Fiをオフにする「WiFiスリープ設定」(オフ/10分/30分/60分のいずれかで設定可能)の機能こそはあるが、いったんWi-Fiがオフになるとスマホ操作などで復帰はできず、端末操作(WPSボタンを3秒長押し)にて手動でWi-Fiをオンにする必要が生じ、さりとて面倒なので、積極的にこの機能を使おうという気は起きない。もちろんこれらはモバイルデータ通信という本来の機能に付加・より便利に活用できるようにする追加機能のため、必要なければ問題なく、それだけにシンプルに迷うことなく使えるとは言える。が、機能の数そのものは他機種に少し劣る傾向である。

 もう1つ「当初よりSIMロックフリー」なのは大きな魅力だが、対象機種として前述した「L-03E」や「HW-02E」が対応するGSMには対応しない。こちらは海外で使用する際、海外の2Gエリアでは利用できないことを示す。「海外での利用でも、これ1台でパーフェクト」と一概に言いにくいのがなかなか残念だ。

 最後に、最近のポータブルWi-Fiルータのほとんどは本体の設定を適当なブラウザで行えるWeb設定ツールを用意している。こちら、特にスマホユーザーが増えたことから、画面の小さなスマートフォンでの表示に最適化した「スマートフォン表示モード」を別途用意する機器も増えているが、本機はそこまで手厚い設定メニューを用意するほど気は利いていない(PCのブラウザで設定する分にはまったく問題ないが)。

 日本通信のb-mobile LTEサービスも含め、国内(海外もだいたいそうだが)におけるLTEサービスは高速のまま通信できる通信データ量に一定の制限が設けられている。このため、利用者としては「どのくらい使ったか」を手軽に把握できる機能がほしいが、PC用表示のみだと残念ながらやりにくい。手元のスマートフォンでサッと設定変更を行ったり、通信状態の確認もしにくいため、イマドキのルータとしてこのあたりは用意してくれてもいいのにと思う。

「SIMロックフリー」の機器を日本で手軽に導入したい人向け

photo 直販サイト価格は2万4900円となる

 b-mobile4G WiFi3は、前モデル b-mobile4G WiFi2より購入しやすい価格帯であることもうれしい。日本通信の直販サイト「bマーケット」価格は、2万4900円。b-mobile4G WiFi2の発売時価格となる3万2800円より8000円ほども低価格となっている。

 こちら、単体価格そのものは確かに高いと思うかもしれない。一例としてNTTドコモのLTEルータは「L-03E」や「HW-02E」は2013年8月現在、2年の継続契約をともなう一括1万7640円で、月々サポートによる割引額が最大1万7640円となる、いわゆる「実質0円端末」として販売されている。継続契約を条件にした月ごとの通信料割引施策=端末価格の割引額とみなせる割引施策があるためだ。ただし、その割引サービスを得るには、2年間のNTTドコモとのLTEデータ通信契約やパケット定額プランの加入が別途必要である。

 本機はどちらかというと、月額1000円前後より導入できる低価格志向なSIMカードサービスや、海外で現地のSIMカードを入手して使いたいと思うユーザーに向いている。「2年の継続契約なし」でSIMロックフリーの機器を比較的簡単に入手できる点をなによりの評価ポイントにしたい。


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 さて、国内においては、NTTドコモおよびNTTドコモのMVNOであるモバイルデータ通信サービス事業者(日本通信も含む)のSIMカードサービスとともに使用するユーザーが多いと思われるが、SIMロックフリーということはそれ以外の事業者のサービスも仕様および条件が合えば利用できる。

 試しにauのiPhone 5契約(au 4G LTE)のSIMカードで動作を確認したところ、auのiPhone 5で利用可能な2.1GHz帯のLTEネットワークへの接続が可能だった。ひとまずb-mobile4G WiFi3が「販売時点からSIMロックフリーであり、ドコモ系SIMカードでなくとも使えた」ことは一応確認できた。なお“対応周波数帯そのもの”の観点ではソフトバンクモバイルのLTEネットワークも合致(利用できるという意味ではない。SoftBank 4G LTE契約のSIMでは、筆者が試したところSIMロック解除済みのL-03Eでは認識したが、本機では認識・接続確認できなかった)、一方イーアクセスのEMOBILE LTEは非対応となる。

 通信機器としては、NTTドコモから販売される機器もSIMロックの解除は可能である。NTTドコモの製品は街のドコモショップでSIMロック解除手数料3150円を支払えばSIMロックフリーにできるわけだが、場合によっては混雑する店舗で、1週間ほど機器を預けて作業してもらう必要がある。この手続きは意外と手間がかかるので、こういったところで「最初からSIMロックフリーで手間なし」な本機のメリットが見いだせる。SIMロックフリー機器としては、イー・アクセスが販売するPocket WiFiシリーズもSIMロックフリーの機器が多かったが、ソフトバンクによるイー・アクセスの買収後に発表された「Pocket WiFi GL09P」は「SIMロックあり」の機器となってしまったようである。

 ──このことからも(端末価格の割引施策がないので、単体価格こそ少々高いと感じるかもしれないが)、国内で普通に単体購入できるSIMロックフリーのLTE対応ルータは今のところあまり存在しない。家電量販店やAmazon.co.jpなどWeb通販サイトなどにて日本で普通に購入できるSIMロックフリーなLTEルータを求める人にとって、国内でも海外でも応用しやすい、比較的万能な1台といえるだろう。


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