Windows 10春の大型アップデート「1803」は4月中に配信できるのか:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
「Redstone 4(RS4)」と呼ばれる2018年春のWindows 10大型アップデート「1803」は、バグ問題でスケジュールが遅れていると伝えられているが、4月中に配信できるのだろうか。ここに来て、新たな名称候補も浮上してきた。
米Microsoftは4月16日(現地時間、以下同)、Windows Insider ProgramのFast Ring参加者向けにWindows 10 Insider Preview「Build 17134.1」の配信をスタートした。これは前回、内部ビルド(Canary)向けに登場したことを報告したビルドだ。
Build 17134.1でファイナライズに限りなく近づいたか
同社はもともと直前のビルドにあたる「Build 17133(もしくはBuild 17133.73)」を2018年4月に配信するWindows 10の大型アップデート「Redstone 4(RS4、バージョン1803)」にする計画だったようだが、一部の条件でブルースクリーン(BSoD)が出現してしまう問題を解消するため、RS4の最終出荷を遅らせることになった。
だが4月20日、Build 17134.1はWindows Insider ProgramのFast Ringのみならず、Slow RingとRelease Previewの参加者への配信もスタートしており、少なくともRelease Previewへの配信が途中で差し止められたBuild 17133よりはステータスが前に進んでいる状態だ。
ユーザーフォーラムなどを見る限り、Build 17134.1でも既知のバグが幾つか報告されているようだが、MicrosoftとしてはRelease Previewで大きな問題が報告されない限りは、同ビルドを大型アップデートの正式版として最終的に一般配信する意向だとみられる。
開発者向けのOSプレビューを想定したFast RingやSlow Ringとは異なり、Release Previewは「安定版の最新アップデートを通常のユーザーより早く試せる」という特徴があり、どちらかといえば企業などでの展開前のテストに活用しやすい。
Release Previewへの配信開始は「そのビルドがRC(Release Candidate)版、つまり製品候補版」であることを意味しており、100%の話ではないものの、ここで配信されたビルドがそのまま一般向けに配信される確率が非常に高い。最終的な判断は4月23日の週にも下されると考えられるため、特に週後半の同社の動きには注目したい。
アップデートの名称は「Spring」なのか「April」なのか
RS4と呼ばれる2018年春のWindows 10大型アップデート(1803)について、筆者は一連の動きから「一般向け配信は5月にずれ込む可能性がある」という予想もしていたが、Microsoftは何としても4月中に決着をつけたいと考えているのかもしれない。
というのも、以前は「Windows 10 Spring Creators Update」の名称がうわさされていたRS4だが、ここに来て「Windows 10 April 2018 Update」という名称の可能性が浮上してきており、この新名称を死守するのであれば、「4月中の最終版配信は絶対」だと予想されるからだ。
この変更の話は、以前にSpring Creators Updateの名称を指摘したWalkingCat(Windowsの最新情報のリークで有名なTwitterアカウント)が、MicrosoftによるWinHECの公式ビデオを引用して報告しており、ここで「April 2018 Update」という名称が登場している。
また筆者がBuild 17133.73からBuild 17134.1にアップデートした際には表示されなかったものの、Build 17134.1のウエルカムスクリーン上に「April update」の名前が確認できたと報告している海外メディアもある。
最終的に名称がどちらになっても構わないのだが、ある意味で「Spring」よりは「April」の方が現状のRS4にとってはチャレンジングな名称であり、成り行きが気になるところだ。
関連記事
- バグ問題でWindows 10春の大型アップデート「1803」配信開始に“待った”か
「Redstone 4(RS4、1803)」の開発コード名で呼ばれ、最近では「Spring Creators Update」の名称がうわさされているWindows 10の2018年春アップデートだが、一般ユーザー向け配信の前に“待った”がかかった状態のようだ。 - 2018年春のWindows 10大型アップデートが完成か 見え始めたRedstoneの終わり
2018年4月に配信が始まる予定のWindows 10次期大型アップデート。いよいよ完成のとき、一昔前のWindows OSでいえば「RTM(Release To Manufacturing)」の時期が到来したようだ。 - 「他のセキュリティ対策ソフトはもういらない」とアピールするWindows Defenderの現状
Windows標準のセキュリティ対策機能は“オマケ程度”という認識はもう過去のもの。Windows 10の世代では、Microsoftがセキュリティ対策を大幅に強化しており、最新のセキュリティ動向を考慮したアップデートも続けているのだ。 - Microsoftの大規模な組織改編は何を意味するのか
2013年以来となる5年ぶりの大規模な組織改編を発表した米Microsoft。それが何を意味するのかを考察する。 - Windows 10次期大型アップデートは「Spring Creators Update」へ 完成間近に新機能も
Windows 10次期大型アップデート「RS4」の提供が2018年4月に迫っている。Microsoftからの発表はまだないが、正式名称は「Spring Creators Update」になるようだ。 - Windows 10次期大型アップデート「Redstone 4」の開発は最終段階へ 「Redstone 5」のプレビュー登場
Windows 10次期大型アップデート「Redstone 4」の開発が最終段階に差し掛かる中、その次の大型アップデートである「Redstone 5」のプレビュー版がWindows Insider Programに登場した。 - 「Windows 10 S」を新しい動作モードとして広めようとするMicrosoft
Microsoftの「Windows 10 S」に対するスタンスが変化しつつある。一部には「Windows 10 Sは死んだ」といった論調の報道もあるが、実際は死んだどころか、むしろ特定用途ではメインストリーム製品としてプッシュする勢いで扱いが変わってきているのだ。 - 初の“Windows on Snapdragon”マシン「HP Envy x2」が3月出荷へ 999.99ドルで発売
2018年春の発売と予告されていた「Windows on Snapdragon」マシンの「HP Envy x2」が、米HPのオンラインストアに登場した。価格は999.99ドル、出荷開始は3月9日まで。 - 次世代のWindows 10とウワサされる「Polaris」とは何か
Microsoftがデスクトップ、ノート、2in1タブレットなどのPC製品向けに“新しい”Windows 10を開発中とのウワサがある。「Polaris」と呼ばれるこの新OSの謎を追う。 - 稼働6億台を超えたWindows 10はうまくいっているのか
リリースから3年で10億台のデバイス数を目指していたWindows 10。目標を達成できるペースではないものの、2017年11月には6億台の大台に達している。Windows 10およびWindows as a Serviceの戦略はうまくいっているのだろうか。 - Windows 10に待望の「タイムライン」がやって来る
2017年秋のWindows 10大型アップデートでは搭載されなかった目玉機能が、ついに開発プレビュー版に登場。2018年春の大型アップデート「RS4」では、履歴やファイル共有の使い勝手向上が期待できそうだ。 - Windows 10次期アップデートは「AirDrop」のような共有機能を追加
2018年3月ごろに配信される予定のWindows 10次期大型アップデート「Redstone 4」。その開発プレビュー版では、興味深い新機能や機能強化が増えつつある。 - 「Windows 10 Fall Creators Update」の完成を見届けるか、その先の世界へ向かうか
Windows 10の秋季アップデートが迫る中、Microsoftから幾つか新しいトピックが入ってきたので、まとめて紹介しよう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.