ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第12回 アモルファス合金の情報データベースを支援するファイルメーカーPro(3/3)
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データベースに入力される学術雑誌の論文には、グラフが含まれており、そこから数値を取り出すのも作業の1つです。その読み取ったデータが信頼できるものかどうかを確認するために、考案したのが、この「グラフ自動描画システム」なのです。これは、データ入力者がインプットした数値から改めてグラフを作成し、その画像と元のグラフを比較することで、その数値が正しいものかどうかを確認するというものです。
このシステムは1日に1回、サーバが使われていない頃を見計らい、ファイルメーカーProに自動実行させ、その結果がWebに表示されるようにします。リアルタイム処理ではありませんが、実用には十分役立っています。
使っているのは、グラフ作成ソフトとしてKaleidaGraph 3.0。そして、それをAppleScriptとPreFab Playerでコントロールしているのです。KaleidaGraphもAppleScriptもMac OS X対応しているのですが、AppleScriptをGUI対応にするためのPreFab PlayerのOS Xネイティブ版は、現在開発中であり、それがクリアされれば、OS Xに移行できるはずです。
(1) ファイルメーカーProの「グラフデータ」の中から、まだグラフが作成されていないファイルを検索。同ファイル中の座標データ(最大100点まで対応)をKaleidaGraphのデータシートへ書き込んでいる画面。書き込みには、PreFabPlayerのtype命令を使用
(2) グラフのタイプ(両軸普通目盛、横軸普通縦軸対数目盛、縦軸普通横軸対数目盛、両軸対数目盛、正規確率目盛、対数正規確率目盛、ワイブル確率目盛)から、Kaleida Graphのグラフテンプレートを開き、プロットのX軸とy軸を指定している画面。ボタンのクリックには、PreFabPlayerのclick命令を使用。
(3) プロットシンボルの形(●)と色(赤色)を選択している画面
(4) 横軸と縦軸の説明書きの文字を入力し、フォントなどを調整している画面。メニューバーの選択には、PreFabPlayerのdo menu命令を使用
(5) 以上(1)〜(5)の作業が終わった後の画面
(6) 最後に、横軸と縦軸の範囲を調節(原論文に掲載されているグラフと同じ範囲にする)を終わった状態。ファイルメーカーProのフィールドにペーストするために、グラフ全体を選択しコピーした直後の画面
この後、KaleidaGraphを一旦終了し、未完成のグラフがなくなるまで、(1)〜(6)を繰り返します。1枚のグラフを描き終わるまでに、Power Mac G3 233MHzで約2分かかります。アルゴリズムの最適化が問題と上野先生は言いますが、それでも手作業よりははるかに早く、ミスもありません。現在ファイルメーカーProの「グラフデータ」の中には1100枚程度のグラフが収納されています。
独立行政法人 物質・材料研究機構が推進するこのデータベースプロジェクトの次の段階は、国際的な動きに合わせ、このデータをXMLに対応させていくことです。「これからデータベースを公開するときには、アメリカのデータと日本のデータをマージさせることも必要になります」と上野先生。ファイルメーカーProもバージョンごとにXMLへの対応を深めており、データの国際化という大きな流れにも対応していくことでしょう。
[松尾公也, ITmedia
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