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米Appleの独自AI「Apple Intelligence」の技術詳細 基盤モデルや学習データなどを解説(3/3 ページ)

機械ではなく“人間”がモデルの精度を評価

 Appleは、モデルのベンチマークには人間による評価を用いている。これは、機械的な指標よりも、ユーザーの満足度により強く相関すると考えられるためだ。評価は、汎用的な基盤モデルと、タスク特化型のアダプターの両方で行われている。

 例えば、要約タスクの評価では、実際の製品を想定した多様な入力データを用意し、アダプター適用後のモデルが生成した要約を人間が採点。その際、要約の品質だけでなく、重要な情報の欠落がないかなども確認している。その結果、要約のアダプターモデルは、ベースラインモデルよりも高品質な要約を生成することを確認した。

2つの要約例で評価した結果

 続けて、オンデバイスモデルとサーバベースモデルの一般的な能力も評価する。一般的なモデルの能力をテストするために、プロンプトの包括的な評価セット(質問応答、コーディング、数学的推論、書き換えなど)を使用する。

 提案モデルをオープンソースモデル(Phi-3、Gemma、Mistral、DBRX)や同等サイズの商用モデル(GPT-3.5-Turbo、GPT-4-Turbo)と比較した結果、提案モデルは、多くの比較可能な競合モデルよりも人間の評価者に好まれた。

 具体的には、約30億のパラメータを持つオンデバイスモデルが、Phi-3-mini、Mistral-7B、Gemma-7Bを含む大規模モデルを上回り、サーバモデルではDBRX-Instruct、Mixtral-8x22B、GPT-3.5-Turboと比較して好成績を収めた。

Appleの基盤モデルと同等のモデルを並べて評価した結果

 また、有害なコンテンツ、機密トピック、事実性に関するモデルのパフォーマンスをテストするための評価セットでも、オンデバイスモデルとサーバモデルの両方で高い堅牢性を示し、オープンソースモデルや商用モデルよりも低い違反率を達成した。

有害なコンテンツや気密トピック、事実性に対する違反した回答の割合

 さらに、Instruction-Following Eval(IFEval)ベンチマークを使用して、同等のサイズのモデルと命令に従う能力を比較した結果、オンデバイスモデルとサーバモデルの両方が、同等のサイズのオープンソースモデルや商用モデルよりも詳細な命令に従うことを示した。

 Appleは近日中に、さらなる詳細なモデルセットを共有する予定としている。

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2019年の開始以来、多様な最新論文を取り上げている連載「Innovative Tech」。ここではその“AI編”として、人工知能に特化し、世界中の興味深い論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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この記事の著者

山下裕毅

山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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