「AIは仕事を奪うのか?」に対する元マイクロソフト澤円さんの回答 企業経営の中で“絶対に置き換わらないもの”とは(2/5 ページ)
自動車登場時の主な乗り物は馬車だった。馬車と自動車の逸話として、ヴィクトリア女王のエピソードを澤さんは紹介する。
「女王はダイムラーから自動車のプレゼントを受けました。そのときに女王は喜んだかというとそんなことはなくて、『こんなうるさくて臭いものはいらない』という風に答えたんです」
「『うちの馬車は8頭立てだから8馬力だから、ダイムラーの6馬力の自動車よりも速くて強い』とも。じゃあそのまま自動車が廃れたかというとそうではないのは皆さんご存知の通り。これは絶対来ると投資をしたのが、米国のヘンリー・フォードでした。T型フォードの大量生産によって世界は大きく変わりました。そして素晴らしい言葉も残してますね。『もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう』」
馬車しか知らない人には、自動車が何を生み出すのか分からない。だが、現実には1900年には馬車だらけだったニューヨークの街角が、10年後の1910年には自動車の風景に一変する。これが何を意味しているのか。
「人は自分の求めているものを言葉にできるとは限らない。技術がすごい勢いで進んでいるときに、それで何ができるのか現時点でピンと来ないのは自然なことなんですよってことです」
「これは人間の性です。大事なことは、優れた技術は世の中を変えるパワーを持っていることも歴史が証明している、だから今食らいついていかなければいけないということです」と澤さんは強調する。しかし、日本は現状について特に注意しなければならないとも言う。
インターネットに対し「こんなものはビジネスで使えない」
「第一次と第二次産業革命には割とうまくキャッチアップできたが、第三次の一つと言われているインターネットで日本はコケた。95年を堺に日本の経済成長は止まり、中国と米国に大きな差をつけられてしまった」
インターネットが出現した当時、澤さんはすでに社会人となり生命保険会社で働いていた。その中で忘れられないほど多く聞いたのが「こんなものはビジネスで使えない。こんな危ないもの使えるわけないだろう」というせりふだった。
スマートフォンが出た際にも「やっぱりガラケーの方がいいよ、ボタンをポチポチしないと落ち着かない」という声が多かったとも。このように、人は新しいものに恐怖や嫌悪を感じる。「だから今の時点で生成AI怖いよねっていうのはとても自然な反応。それは前提条件にしなければいけない」(澤さん)
AIが解決する現代の課題
澤さんは日立のエヴァンジェリストも務める中、日立の家電担当者にこんな問いかけをした。「10年前の洗濯機と今の洗濯機で解決できる課題の差ってどれくらいありますか?」
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