AIが所得格差を小さくする? “スキルが低い人”ほどAIで生産性向上、タクシー運転手で実証 東大研究チーム
AIを活用すると、スキルが高い人とスキルが低い人の生産性の差が縮まる――東京大学などの研究チームは6月13日、こんな研究成果を発表した。乗客を効率的に見つけるサポートをするAIシステムを使ったタクシードライバー520人分のデータを分析。元のスキルが低い人ほど生産性が向上していたという。
研究チームは、タクシーアプリ「GO」などを展開するGO(東京都港区)のAI需要予測システム「お客様探索ナビ」を使ったタクシードライバーを調査。同システムは、過去の需要データから乗客が見つかりやすい地域を予測するもので、同社が神奈川県横浜市のタクシードライバーに試験提供していた、2019年12月3日から31日までのデータを分析した。
研究では、この試験提供の際の匿名データを分析した。タクシーでは、顧客を乗せていない「空車時間」がドライバーの生産性を左右する。そこでお客様探索ナビと空車時間の関係を調べたところ、同システムの利用により、空車時間が平均約5%短くなると判明した。
加えて、同システム提供前の2カ月間の空車時間をもとに、各ドライバーにスキルレベルを設定。スキルの高低によって、空車時間の改善率が変わるか調べた。その結果、スキルの低いドライバーでは空車時間が約7%短くなった一方、スキルの高いドライバーではほぼ変わらないことが分かった。スキルの差による空車時間の差は約13%縮まったという。
研究チームによると、これまでの研究では「AIの普及が職業間の賃金格差を縮小させることを示してきた」という。一方、今回の研究結果は「同一の職業の中での賃金格差も縮小させる方向に作用することを示している」と説明。「AIの普及は労働市場全体の賃金格差を縮小させる方向に作用する可能性が示唆される」(研究チーム)としている。
今回の研究は、東京大学大学院公共政策学連携研究部の川口大司教授、渡辺安虎教授、重岡仁教授らが実施した。研究成果は、学術誌「Management Science」のWeb版に6月9日付で掲載された。
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