VTuberの“AI製ファンアート”をどう扱う? 「ホロライブ」のカバー、株主総会での質問に回答
「生成AIの活用と悪用は分けて考えており、違法なものについては法的措置も含めて対応」――VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバーは8月12日、画像生成AIを利用した所属タレントのファンアートの取り扱いに関する方針を明かした。同日、6月26日に実施した株主総会の質疑応答の内容を公開。「事務所としてAI製ファンアートへの対応を一本化するべきではないか」との質問に回答する形で説明した。同事務所所属のタレントと、画像生成AIによるファンアートを巡っては、過去にトラブルも生じている。
質問では「イラストAIを使ったファンアートに関して、貴社から所属タレントに対し配信で用いないよう指導しているようであるが、各タレントにその判別を任せているために、技術的に不正確な案内や、手描きのファンアートをAI製と誤認し周知したことによるファンアート作者への風評被害の発生など各種トラブルが発生している」と指摘。そのうえで「競合他社のように事務所としてAI製ファンアートへの対応を一本化するべきではないか」と問いかけた。
これに対し、カバーは「AIの活用という観点においては、AIに対する理解を深めながら動向を注視し、慎重に検討を進めている」と回答。また「生成AIの活用と悪用は分けて考えており、違法なものについては法的措置も含めて対応する方針」と明かした。
他にも、株主総会では「昨今、生成AIイラストのまん延により所属タレントの活動が妨げられる事案が見られる。それらの対応に追われることで個々の負担が増している状況だが、注意喚起やガイドラインの制定など、社として一律の対応(策)の実施は検討しているのか」との質問も出た。これに対してもカバーは「生成AIの活用と悪用は分けて考える必要があり、違法なものについては法的措置も含めて対応する方針」と回答した。
過去にはファンアートでの“AI利用疑惑”巡ってトラブルも
ホロライブプロダクション所属のVTuberと、画像生成AIによるファンアートを巡っては、以前からAI利用の方針に関して一部のタレントが注意を呼び掛けている。例えば、2022年にはVTuberの夏色まつりさんが「AIイラストはファンアートとか自作発言はしないようにお願いします」などとXに投稿。カバーが運営する英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」所属の小鳥遊キアラさんも、YouTube動画のサムネイルで利用することを理由に、自身のファンアート向けのハッシュタグで「AI生成の作品を投稿しないでほしい」と呼び掛けていた。
またファンアートでの“AI利用疑惑”を巡るトラブルも生じている。25年2月には、ホロライブプロダクション所属のVTuberである大神ミオさんが、自身のYouTubeの生放送で利用したファンアートに関して「AIイラストだという事が判明しました。現在サムネイルにAIイラストを使用しないという方針があるためサムネの差し替えと、イラストを使用した画像を使ったポストを削除します」とXで報告。一方、イラストの制作者が画像生成AIの利用を否定したことから物議を呼び、「100%AIイラストだと確定する情報はない状態で早計に対応を進めてしまった」として謝罪する事態となった。
直近でも、同プロダクション所属のVTuberである風真いろはさんが、8月2日に行ったYouTubeの生放送のサムネイルにAIイラストを利用しているとして、X上で指摘が続出。これを受け、風真いろはさんはサムネイルを差し替えて対応。「AI生成を使用したイラストに関しましては必ずその旨を表記して投稿いただくか、風真いろはのイラストタグを付けずに投稿していただくなどのご配慮のほどよろしくお願いいたします」とXで注意喚起した。
他方、他社では事務所としてAIによるファンアートに対応する動きも出てきている。VTuberプロジェクト「ぶいすぽっ!」を運営するバーチャルエンターテイメントは6月、画像生成AIで同社所属のVTuberのファンアートを制作する際のルールを発表。「AIイラストを投稿する際には『ファンアートタグ』を使うことは控える」「AIイラストを投稿する際は『#AIイラスト』のハッシュタグを必須で使う」という2つのルールを設定した。理由は、ファンアートをYouTube動画のサムネイルとして利用する際に「AIイラストを見分けるため」としている。
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