24時間働くメンター「AI澤さん」どう実現? 本人との違いを本人に聞いてみた
Q. 「入社15年目になり、同期には管理職になる人もでてきましたが…(中略)…どうすればいいと思いますか」
A. 「同期が管理職になるなかで、自分だけ取り残されたように感じてしまうのも無理ないですね。僕もそういう気持ちは経験があります。端的に言うと、まずは……」
最近は悩みをChatGPTなどのチャットAIに打ち明けるような使い方も少なくない。なかなか他人には言いづらい悩みについて何らかの返事をしてくれるだけでもありがたいものだが、AI自身は「経験」をしていないため、どこか無機質に感じられることもある。
そんな中出てきたのが、「AI澤さん」というサービス。日立製作所エバンジェリト、鹿島建設など複数社の顧問を務める澤円さんの思考をまねたAIメンターだという。
「こうしたキャリアの相談に対して、僕だったらなんて答えるかなって思うわけです。だいたい合ってるんですよね」と澤さんはAI澤さんを評価する。サービス名が示すように、本人も認める本人のAIとなっているようだ。
どんな経緯でどう作られたのか、澤さん(人間)に聞いた。
Voicyや刊行書籍、連載、コラムなど全て入れればAI澤円になるのでは
きっかけは、一般社団法人AICX協会の代表理事を務める小澤健祐さんと飲んでいる中で「澤さんをAIにしたい」と打診されたことだった。小澤さんが関わりを持つ、DeNAからスピンアウトしたTHA(新宿区)というベンチャーが「AI社長」というサービスを提供している。「社長と直接会えない人たちでも社長と会話できるbotのようなもの。その超汎用版を作ってコンサルタントとして澤円を買えるようにしよう、という話になりました」(澤さん)。
AI澤さんを作る材料は豊富にある。音声メディアのVoicyでは約2800回分の収録がある他、書籍もあり、これまで執筆してきた連載やコラムは4500本。こうして積み上がった情報をAIが学べば、“澤流”の価値観と論法が抽出できるのではないか──。そんな発想で澤さんのAI化は走り出した。
「時代とともに見解も変わる部分はありますが、基本的な価値観や思考パターンは大きく変わっていません。その基盤があればコピー可能だろうと考えました」(同)
本人との違いは「常にご機嫌な澤であること」
そうしてできあがったAI澤さんの返答は、本人が見ても「そう言いそう」と思うような出来上がりという。では、澤さん本人から見たときの、AI澤さんとの違いは何だろうか。
そんな質問に澤さんは「ムラがないことです」と答える。
「例えば遠方の企業が僕と顧問契約を結びたい場合、移動時間がネックになりますし、人間の僕は体調や機嫌で働きにムラも出ます。でもAI化すれば24時間同じ品質で相談に乗れる。特にキャリア相談などで、常に“ご機嫌な状態”で24時間対応できるのは大きなメリットだと思います。AIはキレたりしない。どんな聞き方をされても一定のトーンで答えます。リアルな僕だったら、人によっては相手を嫌いになってしまうこともあるけれど、AIならそうならない」
こうしたメンタリングはもちろんChatGPTなどの汎用的なチャットAIでも可能ではあるものの、大量の澤さんのデータを読み込ませたことで、澤さんの「絶対正義はない」「全ては選択肢」という思考スタイルがAI澤さんにはインストールされている。
「コンサルティングの世界で致命的なのは『毎回言うことが違う』こと。経営者ならば『朝令暮改は当たり前』なんですが、コンサルはそうはいかない。一度目に聞いたときはAが良いと言っていたのに、もう一度聞いたらBが良いというようではどっちやねんとなりますよね」
現在は検証段階 収益化も検討
AI澤さんは現在のところは検証段階で、THA社内で展開済みの他、澤さんが大学で受け持つゼミ生や、顧問契約先に徐々に公開して比較検証をしていく計画。すでにAI澤さんを触ってみたゼミ生からのフィードバックもあり「これは澤さんは言わないのではないか」といった指摘を受けることもあるという。
「ただ、読んでみると『これは言うかもな』と思うものもあるんですね。ただ、いずれにしてもその違和感は人間の澤とAIの両方を知っているから感じることで、ムラがなく、言うことに一貫性があるのは安心材料なんじゃないかと思います」
澤さんじゃなくても“自分のAI”は作れる?
自分の思考を模したAIが自分の代わりに働いてくれたら──。そう願う人も少なくないのではないか。
AI澤さんの場合は、澤さんが長年積み重ねた大量のアウトプットがあったからこそ実現にめどが立った。では、そうしたアウトプットのない人では“自分のAI”を作るのは難しいだろうか。澤さんは「そんなことはない」と否定する。
「これからでもできるんですよ。ある社長さんのAIを作ることを考えるとして、朝から晩まで黙っているわけではないですよね? 例えばTeamsやSlack、Zoomで会議したりするじゃないですか。それが毎日たまっていく。仮に1日5回会議をして、月20日の稼働だとしたら月100回。年1200回分のログになる。結構な数じゃないですか。今この瞬間からできることっていっぱいあるんですよ」
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