音楽生成などのAI技術の開発を手掛けるQosmo(東京都目黒区)は4月23日、生成AIが作った楽曲を判定できるツール「Spotifake」を公開した。音楽ストリーミングサービス「Spotify」で聞ける楽曲のうち、AI音楽ジェネレーター「Suno」や「Udio」で生成したものを検出できるという。
公式サイトにSpotify上の楽曲URLを入力すると、AIが生成した可能性を数値で表示する。カフェやレストランで流れている曲を分析したい場合は、米Googleの「鼻歌検索」でSpotifyのURLを取得し、AIによる生成か調べられる。今回公開した公式サイトはβ版としており、APIでのアクセスもできるという。
Spotifakeには、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のAI研究者らが開発したデータセット「SONICS」を活用した。SONICSは約9万7000曲(再生時間にして約4751時間)で構成されており、その半数以上がSunoやUdioなどで生成した曲。これにより、既存のデータセットでは検出の難しかったAI楽曲を見分けるのに役立つという。
なおリリース時点では、Spotifakeは「Suno v4」などの最新の音楽生成モデルには未対応。Qosmoは今後も更新に取り組むとしている。
同社は、Spotifakeを開発した背景について、聞き手の状況に合わせて変化するBGMなど「AIを用いた音楽生成には有意義な使い道も存在する」と分析する一方、「私たちが反対しているのは、アーティストにとってアンフェアなかたちでのAIの利用だ」と指摘する。
「AIツールを使用して「大量生産」された音楽が、その出どころを明らかにせずにSpotifyなどのプラットフォームに公開されることは、真摯に音楽と向き合う多くのアーティストにとって不公平だと考えている」(同社)
Spotifyを巡っては、AIで生成した楽曲による問題が生じていると指摘が相次いでいる。例えば、テクノロジーメディアの米The Vergeが2024年11月に掲載した記事によると、既存のアーティストによる楽曲と見せかけたAI楽曲が、Spotifyにアップロードされていたという。同記事によると、楽曲の再生数に応じて収益を得られるSpotifyの仕組みを悪用して大量のAI楽曲をアップロードし、botを利用しながら再生数を増やして稼ぐといった事例もあると指摘している。
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