メディア
ITmedia AI+ >

会話中、相手の“ウソ”をこっそり教えてくれるスマートウォッチ AIが瞬時にファクトチェックInnovative Tech(AI+)

» 2025年05月19日 12時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech(AI+):

このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高いAI分野の科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

X: @shiropen2

 ニュージーランドのオークランド大学やシンガポール国立大学に所属する研究者らが発表した論文「Factually: A Live, Wearable Fact-Checker」は、日常会話の中で事実と虚偽を瞬時に判別するスマートウォッチを提案した研究報告だ。

周囲の音声を取得し、虚偽かを判別してスマートウォッチで通知

 技術的な実装としては、大規模言語モデル(LLM)とWebリソースを組み合わせた事実確認メカニズムを基盤としている。音声認識技術により周囲の会話を検出し、その内容をシステムが分析。検出した発言や主張は、バックエンドの事実確認エンジンに送信し、そこでLLMが情報の正確性を評価する。このプロセスでは、信頼性の高いWebソースと照合することで、情報の真偽を判断している。

LLMで虚偽かを判別し、周囲に気が付かれない振動で通知

 特徴的な点は、フィードバック方法にある。従来のシステムが音声や視覚的なフィードバックを使用するのに対し、Factuallyは触覚フィードバックを採用。具体的には、ウェアラブルデバイスを通じて振動パターンを利用者に伝える。

 情報が誤りであると判断された場合、デバイスは特定のパターンで振動し、利用者に警告を発する。このアプローチにより、会話の流れを中断することなく、情報の正確性を確認できる。

Source and Image Credits: Michelle Wu, Praveen Sasikumar, Chitralekha Gupta, Shreyas Sridhar, Priambudi Lintang Bagaskara, and Suranga Nanayakkara. 2025. Factually: A Live, Wearable Fact-Checker. In Proceedings of the Extended Abstracts of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems(CHI EA ’25). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 912, 1-2. https://doi.org/10.1145/3706599.3721346



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ