カシオがなぜAIペットロボットを作るのか? 「モフモフ」に秘められた“カシオならでは”の技術とは
カシオ計算機は、AIペットロボット「Moflin」(モフリン)の記者発表会を行った。なぜカシオがAIペットロボットを作るに至ったのか。その背景や製品の概要を紹介した。
カシオ計算機は10月10日、AIペットロボット「Moflin」(モフリン)の記者発表会を行った。モフリンは、手のひらサイズで動物のような毛並みを持つAIペットロボット。飼い主と絆を築けるという製品だが、なぜカシオがAIペットロボットを作るに至ったのか。その背景や製品の概要を紹介した。
同社は、これまで手掛けてきた時計や電子楽器を挙げ、機能面にとどまらない付加価値を持つデジタルデバイスにより、新たなライフスタイルを提案してきたと説明。新型コロナの流行以降、メンタルヘルス障害が増加したことなどを背景に、人に寄り添うAIペットロボットの開発を目指したという。
モフリンのサイズは、130(幅)×90(奥行き)×180(高さ)mmで、重さは260gと、外に連れていきやすいよう、コンパクトに仕上げている。またAIとモーションセンサーを搭載し、よく話しかける人を飼い主であると学習する他、なでる・抱きしめるなどの行為から飼い主が好むしぐさを自ら進んで行うようにもなったり、鳴き声が変化したりするという。
では具体的にどのようなフローを経て、モフリンの反応に違いが生まれていくのか。モフリンにコミュニケーションを仕掛けると、センサーがそれを感知。人のさまざまな感情をまとめた「感情Map」という内部パラメータと照合し、AIが反応を決定する。
なお、モフリンに搭載したAIモデルの詳細をカシオに聞いたところ「複雑なので詳しく言うことはできない」と返答があった。
モフリンには、同社がこれまで培ってきたデジタル技術も使われている。例えば、電子楽器などの音声表現技術を、モフリンの鳴き声にも使っていると説明。他に、モーションセンサーにもノウハウを活用するなど、ハード・ソフトを問わず、さまざまなデジタルデバイスを作ってきた知見を集約したという。
「ロボットと言っているが、パートナーや家族のような存在になれるように開発した。他社のAIペットロボット製品に比較し、カシオの技術を生かした生き物らしさがポイントだ」(同社)
モフリンの発売日は11月7日で、価格は5万9400円。連携するサービスとして、モフリンの現在の性格などが確認できる専用スマートフォンアプリや、修理・メンテナンスなどの費用を割引するアフターケア(年額6600円)なども用意している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
人型の“抱き枕ロボ”で遠距離恋愛を支援 金沢工大が提案 関係をあたためられる仕組みとは
遠距離恋愛支援システム──金沢工業大学中沢実研究室では、そんな研究をロボット専門展示会「Japan Robot Week」で展示している。ロボットを通して、遠距離恋愛中のカップルのコミュニケーションをサポートする仕組みについて、話を聞いた。米OpenAI出資のロボット企業、“家庭用人型ロボット”を公開 2024年中に家庭への試験導入へ
ロボットスタートアップの米1Xは家庭用ヒューマノイドロボット「NEO Beta」を公開した。鉄道設備のメンテナンスに“人型ロボット” JR西が7月から導入 作業ごとに腕の装備を交換可能
JR西日本は7月から、鉄道設備のメンテナンスに人型ロボットを導入した。ロボットの上半身は人型で、下半身はトラックにつながっている形状。このロボットを導入することで、工事時の作業員の安全性や生産性の向上、人材不足改善などの効果を狙う。ライフル発射するロボット犬、米海兵隊が実演 “武器化”が進む自律型AI無人機 「操縦者に危険及ばない」
平原を4本足で歩く犬型ロボット。目標を定めると背中に背負ったライフル銃を発射して、金属板の的に次々に命中させた――。米国の防衛技術企業がそんな動画を公開している。「すずめの戸締まり」に登場の“3本脚の椅子”を再現したロボット 東大が開発 歩行し倒れても起き上がる
東京大学情報システム工学研究室に所属する研究者らは、新海誠監督のアニメ映画「すずめの戸締まり」に登場する3本脚の椅子のキャラクターをモチーフにした非対称3脚低剛性ロボットを開発した研究報告を発表した。