AIで漫画家サポートする新会社 「本人の画風再現」で自動ペン入れ コルク佐渡島氏・THE GUILD深津氏も参画
Visual Bankは、AI技術で漫画家をサポートする企業「THE PEN」を設立したと発表した。作家本人の画風を再現し、ネーム原稿に自動でペン入れを行うAIツール「PEN editor」を提供。作画時間を短縮し、漫画家の生産性向上につなげるという。
AI開発向けデータセットの提供などを手掛けるVisual Bank(東京都渋谷区)は7月1日、AI技術で漫画家をサポートする企業「THE PEN」を設立したと発表した。作家本人の画風を再現し、ネーム原稿に自動でペン入れを行うAIツール「PEN editor」を提供。作画時間を短縮し、漫画家の生産性向上につなげるという。
THE PENは、Visual Bankに加え、漫画家などの創作活動をサポートするコルク(東京都渋谷区)代表取締役の佐渡島康平氏と、Webデザインなどを手掛けるクリエイター企業THE GUILD(東京都港区)代表取締役の深津貴之氏の3者で設立した。
THE PENでは、漫画家を支援するにあたり、作家本人の暗黙知や表現の癖といった「創作技術」をデータベース化する。漫画への理解が深い編集者などが同伴のもと、数百から数十万コマの作画から、作家の創作技術の要素を特定。評価軸を設定し、「オリジナリティーが表現されている作画」を選定・タグ付けしてデータベースを作成する。
なお、データベースは他の漫画家とは区別して管理するため「漫画家本人が持つ創作技術が複製・乱用・混同されることはない」としている。
このデータベースを活用し、PEN editorでは「作家本人の画風を徹底的に再現し、清書前の段階までのペン入れをサポートする」という。著作権上の問題もクリアしており、「SNSでの嫌がらせ」にはTHE PENの対応窓口が担当すると説明。加えて「各種ツールは、漫画家本人が認めた範囲に限定して使用が可能」として、一般利用目的の公開はしないとしている。
THE PENは、設立の背景として「漫画家は『体力・金銭・時間』の3つの制約を抱えながら創作活動を続けている。こうした制約ゆえ、創作意欲があっても新たな作品の執筆を諦めたり遅らせたりせざるを得ないという現状がある」と語る。
他方で「近年、漫画家のコンテンツを無断で利用するAIツールが開発され、著作権や倫理の観点で大きな問題となっている。既存のAIツールは娯楽として話題を博しているが、商用利用においてはさらなる品質の向上が求められる」と指摘。漫画家などから「信頼できる高品質なAIツールであれば、創作活動に活用したい」といった声が寄せられ、会社の設立に至ったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
AIイラストに“ファンアートタグ”使わないで──VTuber「ぶいすぽっ!」運営が声明 「#AIイラスト」の利用を必須化
AIイラストには“ファンアートタグ”は使わないで──VTuberプロジェクト「ぶいすぽっ!」を運営するバーチャルエンターテイメントは、公式Xアカウント(@Vspo77)でそんな声明を発表した。
Skeb、AIを活用した新機能 イラスト発注の規約違反についてAIがお知らせ
イラスト発注サイト「Skeb」を運営するスケブは、AIを活用した新機能「AIによるアドバイス」をSkebに追加した。
イラスト生成「NovelAI」に新モデル 「V4.5 Curated」 プロンプト“負の強調”可能に
アニメ・美少女イラストに特化した画像生成AIサービス「NovelAI Diffusion」を提供する米Anlatanは5月6日(日本時間)、新しい画像生成AIモデル「NovelAI Diffusion V4.5 Curated」の提供を始めた。生成画像に取り入れたくない要素を指定する“ネガティブプロンプト”の反映度合いをコントロールできる「マイナス強調」機能などが主な特長という。
声優・梶裕貴さん流「AIとの向き合い方」 自身がコラボしたAIキャラアプリのイベントで語る
AIスタートアップのSpiralAIは、AIキャラクターと会話できるスマートフォンアプリ「HAPPY RAT」をリリースした。サービス開始にあわせ、声優の梶裕貴さんとのコラボレーションを実施。梶さんはリリースイベントに登壇し、AI活用への思いを語った。
画風を学んでAIイラスト生成「mimic」終了へ 公開時に炎上→審査制で運営も、約2年半で幕
描き手の画風を反映したイラストを自動作成できる、国産のAIイラストメーカー「mimic」のサービスが約2年半で終了する。


