Microsoftよ、iPhoneの葬式はまだ早い
MicrosoftがWindows Phone 7の完成を祝してiPhoneとBlackBerryの葬式を執り行ったという。だがiPhoneもBlackBerryもすぐに消えるわけではないし、それにMicrosoftの最大の脅威になるのはAndroidだ。
ちょっと変わった出来事について――。米Microsoftは先週、今秋発売のWindows Phone 7の競合製品のための偽の葬儀を行った。そのときの写真や動画はオンラインに流れており、Microsoftの従業員の一団がiPhoneの特大サイズの模型とBlackBerryを「お墓」までエスコートする様子が確認できる。葬列には、1台か2台、霊柩車まで用意されたもよう。今年はハロウィンが早めにやってきたのだろうか。
FlickrのTrioculusという人物のアカウントには、このイベントの写真がいくつか掲載されている。この人物は、自らを「ソフトウェアテスター」と名乗っているが、おそらくMicrosoftの従業員だろう。わたしのお気に入りは、ダースベイダーがオートバイに乗っている写真だ。
Microsoftの従業員が下手なゾンビの扮装で行進している様子を見るのがエンターテイメントとして面白いかどうかはさておき、オンラインではInquirerのデビッド・ニール氏など一部の批評家が、このイベントの趣向に疑問を投げかけている。確かに、控えめに言っても、わたしにはすべてが少し時期尚早に思える。おそらくBlackBerryとiPhoneは今後、GoogleのAndroidによってそれぞれ市場シェアに打撃を被るだろうが、だからと言って、これらのスマートフォンプラットフォームが近い将来、歴史のちりと消える運命にあるわけではない。
それはそれとして、調査会社IDCによると、Microsoftのスマートフォンのシェアは向こう数年間で控えめながらも目に見える増加を果たし、現在の6.8%から2014年には9.8%に拡大する見通しという。IDCの最新の調査リポートによると、同じ時期にAppleのiOSの市場シェアは14.7%から10.9%に減少し、BlackBerry OSのシェアもわずかながら17.9%から17.3%に減少するとみられている。
ただしAndroidは同じ時期に16.3%から24.6%にシェアを拡大し、大きな勝利を収める可能性が高いようだ。「Androidは未知数であり、向こう数年間は詳しく観察する必要があるだろう」とIDCのアナリスト、レイモン・ラマス氏はこの調査リポートに関する9月7日付の声明で指摘している。「携帯電話機メーカーは既にAndroid支持に回っている。Androidでは、どのようなスマートフォン体験を提供するかを自分なりのアプローチで提示できるからだ。さらには、ユーザーの間でも既にAndroidの人気は高まりつつあり、iOSと比較して、使い勝手も悪くなく、モバイルアプリケーションの品揃えも充実しつつある点が評価されている」と同氏。
となると、Microsoftの偽の葬式に「DROID 2」や「EVO 4G」といったAndroid端末の模型がなかったのはおかしな話だ。Androidはまず間違いなく、Windows Phone 7にとって最大の脅威だ。どちらのスマートフォンプラットフォームも同じような機種で機能し、端末の製造はメーカーに委ねられている。一方で、Microsoft幹部はWindows Phone 7について、現在Androidが悩まされつつあるような市場の分断化の問題とは無縁だという点をアピールしている。
だが今年2月にバルセロナでWindows Phone 7を発表して以来、Microsoft幹部はメーカーにスマートフォンOSのライセンス料を課す意向を明らかにしている。この影響で、メーカーはさらにAndroid陣営に傾く可能性もある。いくらMicrosoftが、端末にAndroidを搭載するのに「隠れたコスト」がかかっている、と主張してもだ。Androidの改良が急速に進み、またAndroid Marketも成長しつつあるという事実からして、今後競争がさらに激化するのは必至だ。
今回のようなイベントの開催が従業員の士気を高める上でいかに効果的かということは、わたしも理解できる。だがWindows Phone 7を成功裡に市場投入する上でMicrosoftが直面しているのは、冗談で済むような問題ではない。まあ、だからこそ、同社はWindows Phone 7のマーケティングキャンペーンに4億ドルものコストをつぎ込んでいるのだろう。
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