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» 2007年06月01日 16時31分 公開

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:たかが名刺、されど名刺【営業につなげる編】

いくら大量に持っていても、きれいに整理整頓していたとしても名刺は“活用”しなければ意味がない。地道な営業から、トップを“利用”した営業まで、名刺をきっかけにした営業方法をご紹介しよう。

[樋口健夫,ITmedia]

 名刺は、ただ集めればいいというものではない。いくら大量に持っていても、きれいに整理整頓していたとしても“活用”しなければ意味がない。名刺をきっかけに、どのようなビジネスが可能なのだろうか。地道な営業から、トップを“利用”した営業までご紹介しよう。

名刺を“活用”する

 筆者は営業だったから、名刺にはいつも神経をとがらせていた。新人たちが、どのように仕事をしているかは、彼らが毎日手に入れてくる名刺を見ていれば想像ができた。特に、筆者が挨拶に回っていた会社を新人たちが回るときには、彼らの面談相手の名刺を見せてもらった。面談相手の役職や所属部門名が変わっていないかをチェックするためだ。昇格があったりすれば、上長である筆者が挨拶に出かける必要があったのだ。

 担当者が転勤して移動する場合、引き継ぎ書には担当していた企業の関係者の名刺だけでなく、もっと全般的に名刺入れに入っている名刺を全部コピー取らせてもらった。同様に筆者が部下と営業に出る場合は、参考資料の1つとして、相手の企業の会社概要に加えて、面談予定者の名刺を全部コピーした。名刺には、その会社のスローガンが書かれていたり、ISOのマークがあったり、さまざまな情報を伝えてくれる。

 ほかの営業部にも「X社とお付き合いされていませんか」と尋ねに行くことにしていた。付き合いがあることが分かれば、その相手の名刺を見せてもらい、できれば紹介を受けることが地道ながら営業のコツでもある。

 紹介を受けて訪問するのと、紹介を受けないで飛び込み営業をするのでは、時間も訪問回数も無駄に増え、受注率にも大きく影響する。だから、名刺1枚の付き合いであっても紹介してもらうチャンスを求めていた。

上司の名刺も“活用”する

 購入の決定権を握るキーマンといえば、担当者よりも事業部を統括する役員をターゲットにしたほうがいいケースもある。こうした役員たちは、賀詞交換会や異業種交流会などで会社を超えて名刺交換する人が多い。つまり、自社の役員は営業先企業の役員の名刺を持っている可能性があるのだ。それらの中から営業に使える人脈資源を探そうと着手したのだ。

 まずは、自分の会社の営業担当常務に電話かメールをしよう。ここで「役員に電話!?」などと、しり込みしてはいけない。大きな“獲物”が目の前にあるのだ。「誠に恐縮ですが営業支援として、常務の名刺ファイルを見せていただけませんでしょうか」と切り出そう。もちろん「営業支援」が、常務の心をくすぐるマジックワードである。

 常務から名刺ファイルを借り出したら見込みがありそうな客先に付箋を貼り、コピーを取る。そして、常務のところに戻って「すみません。こことあそこと、それからこの企業の担当者を、ご紹介していただけませんでしょうか」と頼みこむわけだ。少々あつかましいぐらいがいい。

 営業先を求める究極は、なんといっても自社の社長に協力してもらうことだ。筆者も社長の分厚い名刺帳を10冊以上借り出したこともある。この後、社長を利用したトップ営業をかけるのだが、さすがに社長自身に1日数十件の営業電話は難しい。そこで、いくつか客先を分類し、優先度をつけた。

分類 トップ営業の方法
Sクラス 社長自らが電話し、営業もしていく。超重要客先候補
Aクラス 社長自らが電話し、現場が営業の突破口にする
Bクラス 社長の許可をもらって、社長の名前を使って電話したり、メールを送る

 Sクラスの客先には、社長秘書にも「時間のある時で結構ですからお願いします」と念押しもした。4〜5件の電話をお願いして紹介を受ければ、こちらも最優先で出かける。ちなみに社長にとっても、昔からの付き合いをリフレッシュするよい機会になるはずだ。名刺を通じて社長とコミュニケーションできるようになれば、自分の仕事も理解してもらえる。

 「立ってる者は、親でも使え」の例えがある。新人だって自分の営業領域を拡げるために、上司や役員に提案したっていいのだ。

今回の教訓

もらう名刺、くばる名刺、使う名刺――。すべての名刺を活用せよ。


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名刺 | コミュニケーション | 経営


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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