「twitterMobile」はどうやって生まれたのか――荘野和也さん田口元の「ひとりで作るネットサービス」探訪(2/2 ページ)

» 2007年11月12日 12時30分 公開
[田口元,ITmedia]
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「サービスを使わないでどうする」から生まれた「twitterMobile」

 「サービス開発者たるもの、サービスを使わないでどうする」。隣の席にいたamachangにいつもそう言われていた。新しいネットサービスが登場するととりあえず試してみた。Twitterもそうしたサービスのうちの1つだった。

 そしてTwitterを便利に使っているうちに「これは携帯向けサービスであるべきではないか」と思うようになった。Twitterは思ったことを気軽にアップできるツールだし、入力するデータもそれほど多くはないからだ。「はてなブックマークカウンタ」でサービス開発に慣れた荘野さんは、今度はPHPを使いTwitterの携帯版の開発に取り組んだ。

 夜中にインスタントメッセンジャー「Google Talk」でTwitterに“つぶやき”ながらの開発だった。「友達とTwitterで会話しながらテストしました。気がついたらほんの2〜3時間で簡単な機能を実装することができました」

「twitterMobile」。荘野さんのブログから

 2007年4月に「twitterMobile」としてリリース。サービスはASPではなくて、スクリプトを配布する形式にした。ユーザーが自分のサーバにインストールしなくてはいけないためハードルは高い。しかしサービス提供者側にIDとパスワードを伝える必要がないため、ユーザーは安心して使えた。

 コードを公開することでいいこともあった。つまり、スクリプトを配布することでオープンソース的な効果も得たのだ。「僕のコードを書き直してくれたり、Twitterとの通信を手軽にできるようなClassを書いてくれる人が出てきたのです。これは本当にうれしかったですね」。そうしたフィードバックを受け、GPS携帯から自分が今いる場所をTwitterに投稿できる機能などを追加していった。

 苦労したのはデバッグ作業だった。携帯の機種は無数にある。通信キャリアが違えば処理も違ってくる。途方にくれていた荘野さんはふと思いついた。「TwitterのサービスはTwitterでデバッグすればいいのでは?」。新しい機能を追加したあとに荘野さんはTwitterで呼びかけた。「今、機能を追加したβ版ができました。どなたかテストしていただけませんか?」。荘野さんの呼びかけにユーザーが集まった。こうしてtwitterMobileは順調にバージョンアップを繰り返すことができた。

Twitterで「おはよう」から始まる毎日

 思い付いたアイデアはメモ帳に書き留めている。仕事で必要なマークアップのアイデアをまとめている最中だという。「いずれまとめた結果を社内で発表したいですね」。携帯はauの「W52S」。通勤には1時間かかっている。「通勤電車では携帯をずっといじっています。まずTwitterで『おはよう』。そのあとはポケットはてなでブックマークやはてなダイアリーを見て回ります」

普段の持ち物は少なめ。左からメモ帳、携帯、名刺入れ。

 JavaScript、XUL、PHPと貪欲に知識を吸収している荘野さん。「勉強した後には必ず人に説明するようにしています。人に説明できないということは理解できていないということですから。ガイアックスの社内勉強会でもよく発表しますよ」。注目しているのはHTML 5、Opera、Firefox 3。「自分が不便に感じることはどんどんツールを作って解決していきたいですね」と語る荘野さんはまだ21歳。彼が次に発表するサービスに期待したい。

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