当時ガイアックスでコミュニティーを手がけていた斉藤のりこさんは、散財.comを見て社内のメーリングリストで紹介した。「これ、面白いですよ!」。その当時、偶然にもガイアックス社内で同様のサービスを検討していた。「じゃあ、一緒にやらないか、ということで誘いを受け、ガイアックスで作ることになりました」
ただし興味は、散財.comの立ち上げよりも演劇に向いていた。最初の企画には携わったが、そのうちに演劇の練習の方に集中するようになっていった。俳優になりたい、という夢をかなえるために努力する毎日が続いた。
「ところがあまりうまくいきませんでしたね……」。mizzuさんは苦笑しながら劇団での経験をそう振り返る。劇団の中で付いたニックネームが「ノーアンケート俳優」。ブサイコロジカルを見に来てくれた人は650人以上いたが、アンケートにmizzuさんの名前を書いた人は一人もいなかった。「つまり、印象に残らなかったんですよ。存在感がなかったというか」
演劇もうまくいかず、フリーの仕事をなんとなくこなす毎日が続いた。日々の生活での散財ぶりもあいかわらずだった。「フリーじゃ、やっぱり食えないな」。そう考えたmizzuさんは、当時一緒に仕事をしていた知人のつてでIT系企業に就職。現在は、ネットサービスの企画をしたり、簡単なツールを作ったりする仕事を日々こなしている。
会社には就職したが、劇団で知り合った人たちとの交流は続いていた。ネット系企業に勤める友達が多かった。けんすうさんもその一人。そのけんすうさんからある日メッセンジャーで話しかけられた。
「会社やらないか!」。けんすうさんがsatoru.netのさとるさんと一緒にロケットスタートという会社を立ち上げるという。「知り合いだったし、ノリで『やろう!』と答えました」。mizzuさんが当初ロケットスタートに期待したのはずばり“金”。みんなでサービスを作って楽しく稼ごう! と期待に胸を膨らませていたという。
「ただ、全く期待とは違うことが分かりました(笑)。お金を稼ぐどころか、みんなで集まって作業をすることがありません。つまるところ、みんなが好きにやっていて、それで誰も困りはしないんですね」。ただ、稼がないからといって辞める、というものではない。
「会社の会議がとにかく面白いですね、会議というかチャットなのですが。なんということはなくて、面白いサービスを紹介しあったり、コードを張り付けたり、作ったもののフィードバックをもらったりするだけなのですが。ただ、24時間人がいて、反応がある場所があるのはすごく楽しいです」。夜疲れて「もう寝るぜ」と話しかけると「お疲れ」と返ってくる、そういうコミュニケーションが楽しいという。「昔のIRCとか、ニフティとか思い出して、個人的にはすごく好きです」
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